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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第43章 目の前にある過去



「ディアナに憎まれてるなんて当時は考えもしなかった。いつでも自分を高める為の努力はすごかった。そして彼女がわたし達の楽団から離れて自分の力を試したいって言った時も不思議に思わなかったな」

ティアナはその独立を応援したという。俺からしたら商売敵に塩を送るようなもんだとしか思えねえが、それまでの関係は良好でもめることなくお互い順調であったらしい。
だが、その関係もずれて変わっていく。どちらも才能があり自然と競い合うようなライバルになって、同じ公演に出るとディアナとやらは嫌悪を露骨に表した。ティアナたちはかつての同僚の変わり様に戸惑っていた。ディアナにも強力な支援者が現れ、更に関係は拗れ距離が開いていった。

一方の言い分であるが聞いてる内容が客観的にもそうなら袂を分かつのは時間の問題だったろう。

「次第にね、派閥みたいなものもできて」苦笑いで誤魔化しているがティアナはどうにか以前の関係に戻ろうとしたという。
恐らく、それは逆効果で相手の取りようによっては神経を逆なでしたのではないか。

「彼女のプライドをわたしは考えなしに傷つけた。だからディアナはあんなことを。したんだと思う」

「脅迫状やら元同僚を痛めつけたりか。そいつの仕業なら大したプライドだな」

「本当に彼女を疑わなかった。あの時までは」

関係悪化するなか仲裁に入ろうとした人物がいたらしい。
そいつがディートらしい。だがうまくいかなかった。
ティアナはアーリヤとして楽団員を守る為に自分がいなくても大丈夫なように楽団自体のレベルアップに力を入れ後援者にも根回しをし徐々に自分は表舞台から遠ざかった。好調だったのはそこまでだった。

「カル、わたしに懐いて側をはなれない女の子がいたの。ディアナはその子をわたしの目の前で、楽しそうにひどく執拗に甚振った。わたしは縛られ無力で守ってあげられなかった。カルはそれが原因で心を病んでしまった」

その時の記憶は今も鮮明に記憶に残っているのか。
昔、誰かが言っていた。未来は後ろから、過去は目の前で消えない。
過去に縛られていないつもりでも乗り越えようと足掻いても消えることはない。変えられない過去を受け入れるしかない。ティアナはファーラン、イザベルを失った俺をどんな気持ちで抱きしめたんだろう。

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