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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第43章 目の前にある過去



でもね。ティアナは続ける。
「音楽を通じて仲間が増えて一緒にいると、嫌がらせもそんな苦には感じなかった」

コーネリアス様もいたから大したことできなかったみたい。うっすらと笑う。

貴族や富裕層は権力に弱い。もし高位貴族が後ろ盾としていなかったら嫌がらせはひどかったのではないかと想像はついた。

「だけど、叔父が死んだ頃から不穏な状況が立て続けに起こり始めた。まるで…死神が憑りついたような感じ」

楽団は成功し音楽家としての名声も得て叔父や支援者のコーネリアス・フェルンバッハ侯爵も大層喜んでいたという。

「叔父は社交界にも業界にも顔が広かったから、よく打ち合わせとかで夜は出かけることが多かった。でもあの夜、帰宅途中に刺されて死んだの。憲兵が調査したけど物取りの類いで終わった。コーネリアス様も憲兵に再調査を依頼したけど状況的に金目のものがないことから調査結果は変わらなかった」

家族だった。声は震えて目は潤んでいる。

「もし話すのが辛いなら無理はしなくていい」

過去とはいえ、ティアナの苦しんでいる姿はリヴァイの胸も搔きむしる。

首を振って、続ける意思をティアナは示す。

リヴァイはせめてと、ティアナの横に椅子をティアナの隣に移して肩を抱く。

「それから楽団員にも不幸、というか襲われたり事故にあったりして偶然にしてはおかしいってみんな薄々感じてた。実際、楽団を辞める人も出てきた。わたしにも脅迫状が届いてた。以前から脅迫状なんてあったから、そんなに気にしてはいなかったんだけど、さすがになんとかしないとって毎日どうしたらいいか、そればかり考えてた」

「憲兵は動かなかったのか?」

「動いては、くれた。でも全員対象に警護するのは無理で公演する場を見回ってくれた。それでも被害は止まらなかったし偶然で片付けるには偶然が多すぎた。楽団員もわたしも疲弊した頃にきた脅迫状にね『アーリヤは表から去れ、さもなくば危険は続く』ってあった」

俺は違和感を覚えた。偶然ではないとして、心当たりはないのか、後ろ盾を恐れないなら相手をある程度は絞れるんじゃないか。アーリヤを蹴落としたい意図は明白で、対策はとれたのではないか?

俺の疑問に気づいたティアナは力なく笑った。

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