第42章 選択する勇気
本当の意味での完治とはほど遠いが、毎日のリハビリやハーミットに確認したところ、いつでも病室を出てもいい状態までには回復しているとのこと。
絶対にティアナには言えないが巨人の脅威から彼女を遠ざける可能性が高くなった。と仄暗い思いを抱いた。
壁外調査の度に必ずしも側にいられないこそティアナを帰還の列にいるのを確認する癖がついていた。
信煙弾がハンジ班の方から上がる度に生きた心地がしなかった。
もう、あの地獄を味わないで済む。
※※
「ねえ、リヴァイ。次の非番はいつ?」
他愛のない会話をしているとティアナから訊ねてきた。
いつもなら非番くらいは見舞いではなくゆっくりと休んで欲しい。と言い続けていたのにいきなりどうしたんだ。
「5日後が非番だが、どうした?」
「うん、非番なのに申し訳ないんだけどリヴァイの時間をもらいたいの」
なんだ。そんなことか。こいつの話しの切り出し方は遠回しで心臓に悪い。
「ああ、それは構わない。俺の部屋でいいか、それとも外に出て話すか?」
「迷惑じゃなければ、リヴァイの部屋がいいな」
若干切れの悪い返事だが決まりだ。
その日は迎えに行くことで決定し俺は執務に戻った。
執務は比較的落ち着いており、エリーは明日以降の準備をしている。
俺が戻るとすぐに紅茶を用意しようと動くが、今はいいと断り、キリの良いところで今日は上がっていいと指示した。
エリーも素直に受け入れ、しばらくすると「お先に失礼します
」と出ていった。
1人の執務室で明日以降の班員への訓練メニューと全体訓練についての案を思案し文書を作成する。
それが終わると今度は会議が入っている。
仕事のスケジュールを整理しているのに、油断するとティアナのことを考えている。
俺の時間が欲しいと改めて聞いてくるには重要なことなんだろう。調査兵団は止めないと言っていた。なら、後はどこに所属するか?
勝手な言い分だが第三医療は避けてほしい。
目の届く本部内を選んで欲しい。できるなら俺の補佐官になって一緒にいられる時間を増やしたいのが本音だ。
何度エルヴィンにもエリーを補佐官にしてはどうかと進言しているが笑って「リヴァイ、魂胆が見え見えだ。独占欲の強い男は嫌われるぞ」と相手にしない。
すぐに誰かの専属の補佐官にはならないとはいえ俺の傍以外は認められねぇ。
