第42章 選択する勇気
あれからハーミット班長の助言はすべて守り、こっそり足を動かして唸るなんてことはもうしてない。
ハーミット班長は改心したのか?と茶化すけどできるだけ早く復帰したい。といっても骨がある程度くっつくまでは時間がかかる。
今はベッドの上の住人だとリヴァイの持ってきてくれた小説を読んだり、五線譜に向かい合ったりして焦りを誤魔化した。
その他にもハンジさんや、ハンジ班のみんなも時間を見つけてお見舞に来ていろいろな話を聞かせてくれる。(主にハンジさんの実験や奇行とも呼べる出来事も)
もちろん、リヴァイも1日に最低1回は来てくれる。
多忙なはずなのにと、ここに来るよりも休んで欲しくて、遠慮すると不機嫌になってしまい、宥めるのに一苦労した。
それでも、ハーミット班長の用意したベッドは撤去して自室で休んでくれるようになった。(この件も少しだけ揉めた)
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痛みがとれてくると、徐々にゆっくりと足を動かしていく。
寝てばっかりですっかり筋肉、体力は落ちてしまい、ちょっとの動きで疲れてしまう。
休みを入れながらリハビリとマッサージをして毎日過ごす。
ハーミット班長はカルテを見て、ふむ。と言いながら、今の状態を説明してくれる。
「経過は上々だ。だからと言って前みたいなことしたら台無しになるからな」
「その節はすみませんでした」
「本当だ、まったく手のかかる患者だ。さて、俺は他の患者のとこに行くか」
釘を刺すところは刺し憎まれ口だけど、順調らしい。ハーミット班長も回診の際、笑顔が増えたと思う。
リヴァイはぶっきらぼうに今日の調子や回診時の会話を聞きたがる。
あまり表情には出ないけどきっと一番心配して安心しているのは間違いなくリヴァイだ。
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松葉づえから始まって歩行訓練まで進むと理解はしていたけど思い知る。
痛みはないけれど、どうしても折れた足は以前のように動かせない。引きずる足は歩く時にテンポが遅れ、違和感と慌てると足並みが揃わずにこけてしまいそうになる。
もう少し訓練を続け慣れれば違和感もそんなに感じず日常生活には問題はないとのこと。
つまり、そこが回復の限界。
それとは別に今後についても以前のこともリヴァイに話して隠し事はなくしたい。
わたしを知って欲しい。
話すこと話したいことは、もう、決まっている。