第42章 選択する勇気
勢いよくソファに許可もなく座るとローテーブルの紅茶を見て、用意がいいね!とほざいている。
なにも言いたくない俺の顔を見て、モブリットは申し訳なさそうにしているがこうなったハンジを止めるのは余程のことがない限り無理だろう。
エリーは突然の来客とハンジの勢いに驚いていたが、すぐに笑顔に戻り、人数分の紅茶を用意しますね。と一旦出ていった。
「いっやー悪いね」
たいして悪いとも思っていない口調でハンジはエリーに声をかける。
「用はなんだ」
不機嫌な俺にモブリットは小声だが(分隊長っ!)と言っているのが聞こえる。
「エルヴィンが行くのは夕食後だろ、あなた番犬みたいに控えるらしいから仲間に入ろうと思ってさ」
「来んな」
「だってさ、私だってティアナの力になれるかも知れないしなにより顔見たいし」
飄々としているがハンジもティアナを心配しているんだろう。あとは俺とエルヴィンの緩衝材ってところか。
「俺が拒否しても来るんだろ」
「さっすが!わかってんじゃん!」
わかりやすくため息を吐くと立ったままのモブリットに空いているハンジの隣に座れと言うと遠慮しつつ座った。
「ハンジ、それよりも嫌いとはいえ書類仕事の一枚でも片付けるほうが優先じゃねぇか?」
「だぁかーら、悪かったって!補佐官ちゃんにも手伝ってもらったけど無事完成したろ?」
ますますモブリットの顔色が悪くなっていく。
ノックの音がすると救いの手がきたとばかりにモブリットがドアを開く。
「お待たせしました」
エリーはそれぞれの前にカップを置いていく。
「ねぇ申し訳ないんだけど、モブリットと一緒に明日の資料用意をしてくれないかな?」
自然と俺の隣に座ろうとするエリーにハンジがモブリットを指さしながら言う。仮にも分隊長のこいつのいうことを断れないとしっての発言だろうか。
戸惑いながらエリーは俺の答えを待っている。
明らかにハンジはエリー抜きで話しをしたがっている。
「今日はもう仕事も落ち着いている。それを飲んでからでいい。すまないがハンジの手伝いをしてくれないか」
どこか不満そうではあるが了承し、さっきとはまったく違う話題をハンジがほぼ一方的に話していく。