第8章 壁外調査
出立の時間が来た。
陣形の欠けた配置を動けるもので再配置。
動けない負傷者は陣形中央の救護隊荷馬車複数で、移動する。なるべく衝撃を与えないよう、スピードは遅めで進行する。その為、巨人遭遇時に危機に晒される。それを防ぎ、守るのがハンジ班の役割。
ティアナと二ファはツーマンセルで荷馬車の後方を
ハンジ、モブリットは前方。
ケイジ、アーベルは左右を。
この位置は中央後方配置なので陣形で安全な位置でもある。
「ティアナ!遅れてるよ!」二ファの心配そうな声掛けにティアナはハッとした。
「うん、ありがとう。」ファーラン達の事を考えてた為、馬足が少し遅れてしまった。太腿を締め馬足を上げ二ファと並走する。
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あちこちから、赤い信煙弾が上がる。
赤い信煙弾を避けるように緑の信煙弾を打つ。
エルヴィンの上げた緑の煙に従って陣形は動いていく
今のところ、大きな陣形の崩れはない。
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ミケ班はフラゴン班の前方、右翼初列索敵に位置する。
精鋭揃いのミケ班は巨人に最初に遭遇する。
巨人を見つけ次第、赤の信煙弾を打ち、奇行種の際は黒の信煙弾を上げ討伐する。
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フラゴン隊は右翼次列後方索敵。次列とはいえ巨人との遭遇率は高い。が、前日のリヴァイの戦い方に触発され班員たちも集中力、気合いはバッチリだ。
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中央指揮
「エルヴィン…」
「…嫌な雲です…」
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それから、あっという間に突然の豪雨と濃霧が世界の全てになってしまった。
エルヴィンは空から打ち付けるような雨に顔を向け睨む。
信煙弾の合図は見えなくなった。
「団長………索敵能力は失われました。いつ巨人と遭遇してもおかしくはありません。陣形を狭めましょう。」
(中央指示が伝達されるまでには時間が多少なりともかかる。犠牲は避けられないか…陣形最大の弱点が露呈した今。一刻も早く陣形を狭め、拠点までなんとか………)
左翼、中央列、右翼。それぞれに青い顔の伝令が急ぎ向かっていった。
嘲笑うかのように、雨足は強く濃霧は体にまとわりつき、視界を遮っている。