第8章 壁外調査
壁外調査 2日目 朝
夜と朝の境目が開く夜明けから今日も生き抜く為にそれぞれ忙しなく準備を整える。朝食も昨日と同じ野戦糧食。
ティアナはファーランを探していた。
きっとイザベルもリヴァイさんも一緒。仲間に入れてもらおう。
すぐにファーランがあくびをしながら腕を伸ばしているのを見つけ、後ろからトンっと肩を叩くとファーランの体が強ばった。 が相手がティアナと分かると笑顔で「おはよ。」「おはよう。」と言葉をかけ歩き出す。
「ティアナはもう準備終えてんのか、早いな」
「うん。壁外だと早起きになるの。ファーラン手を伸ばしているし、あくびしてるしで、見つけやすかった」
クスクスと口元に手をあてて笑うティアナ。
「カッコ悪いとこ見るなよ…」
「大丈夫!ファーランはカッコイイから!」
ファーランの胸がトクトクいつもより早く音を立てる。ティアナと過ごしている時にファーランの胸はキュッとしたり、音をたてたりするのは気づいていた。
それが何を意味するのか、分からない程ガキじゃない。出来るならティアナに少しでも男として見て欲しい……
「そういえば!夜ね、他の女の子達からもイケメンって騒がれてたよ!」
他の女にキャーキャー言われるよりティアナに言われたいよ……
ファーランの思いには気づかずティアナは明るい笑顔を向ける。
そうしている内にイザベル、リヴァイのいる場所に着いた。
「ぅー、おはよう…まだ眠ぃ……」
「イザベル、もう一度顔洗ってこい。」
「アニキ……顔は洗ったけど眠ぃんだってば」
リヴァイは朝に弱いイザベルの面倒を何かとみている。
「おーい、ティアナが飯持ってきたから、みんなで食べようぜ」
ファーランはティアナから渡された野戦糧食を手渡した。
「あんまり野戦糧食好きじゃないから壁内に戻ったら美味しいもの食べに行こ?」
「マジでっ!俺、ティアナオススメのとこがいい!」
「俺たち壁内の美味い飯屋知らないからティアナと食べに行こうぜ。リヴァイも来るだろ。」
「………行ってやってもいい」
「じゃ、約束ね!」
ボリボリ、モソモソしている野戦糧食を食べながら、ティアナはどこがいいかな?と思っていた。
壁外での、ささやかな朝の一時。
これから先は気合いを入れ、次の拠点まで駆ける。