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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第42章 選択する勇気



朝の支度を終え、運ばれてきた食事を食べ、ハーミット班長が回診に来た。
一通りの診察を終え、今の状態をカルテに書き込みながら、しかめっ面をしている。

「こら、担当医に隠し事はどういうことだ?説明してもらおうか」

始めは何を問われているのかがわからず、怪訝な表情が余計に勘に触ったのか、険しい視線は射抜くように鋭い。

「睡眠リズムがだいぶ崩れている様子だと報告を受けているが?怪我の治りをよくしたいなら、食生活・生活リズムを整えるのも当たり前のことが、昼夜逆転の生活が続いていりゃ、しんどいだろう。今日からは睡眠導入剤も追加だ。文句は今のうちに言っておけ」

「いえ、もともと夜型タイプであったのと、睡眠導入薬で寝ると翌日まで持ち越してしまうので避けてました」

はあ、と特大のため息と首を横に振りながら、ハーミット班長は続ける。

「それは、医者の俺が判断すべきことであって、患者のお前さんが勝手に決めていいもんじゃない。気持ちもわからないではないが目の前の状態から次の治療につなげていかないと完治は遠のく。お前さんがそれでもいいってんなら話しは別だが?」

ここで違和感を感じた。

確かに私は睡眠導入薬の投薬を避けてハーミット班長にはそのことを敢えて言わなかった。
でも医療班の介助人は夕ご飯が終わって少しすると帰る。
なら。このことを知っているのは私自身とリヴァイの二人だけだ。

「リヴァイから聞いたんですね?」
疑問形だが確信はあった。

「あの男はお前さんよりもお前さんの事を案じているんだ。睡眠不足が続いても良い事はないだろう。あいつを責めるのはお角違いだぞ」

その通りだ。リヴァイは時に自分よりわたしを優先する。
それが彼にとって当たり前のことだというように。
昨夜だって、悪夢に魘されたわたしを安心させる為に狭いベッドで寄り添ってくれた。
そんなリヴァイに感謝しても詰るなんてのは間違っているし、そんなことはしない。
沈んだ自分にハーミット班長はポンっと背中を叩いて、鋭い視線は鳴りを潜めて続けた。

「ま、お前さんが少々いうことを素直に聞く患者じゃないのはわかっている。が、治療に関しては不服があれば言ってくれ」

医者としての注意を済ませた後は和やかになったハーミット班長は病室から出る時に「あいつに心配はかけるな」
と言って出ていった。

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