第41章 壁外調査と捕獲作戦
そんなつもりはなかったが難しい顔だったのか、ティアナは「ごめん、無理しなくていいよ、ハンジさんの本も楽しいし、多分感想とか聞いてくると思うからさ」
いや、これ以上あの巨人バカに付き合う必要はない。
少なくとも俺は必要だとは全然思わない。
「大丈夫だ、ちゃんと見繕ってくる」
「ありがとう!あとね、面倒だと思うんだけど私の部屋の引き出しにある五線譜紙とペンがあると嬉しい」
病室で一日中、動かずにいるとどうしても退屈で仕方ないから読書するか、眠ってしまうかで変な時間に眠ってしまうと睡眠リズムがだいぶ崩れるらしい。
ハンジの本を読んでるくらいなら別の本を読むのも五線譜に夢中になってもらうほうが断然いい。
「わかった、女子寮には入れないがペトラ辺りにでも取ってきてもらうから安心しろ」
そういうとティアナはとても楽しそうな表情で明日が楽しみ!と笑っている。
そこまで話して、”明日”エルヴィンがティアナの今後について話に来るのを思い出してしまった。
俺としてはどんな選択をしても傍にいられるのなら構わない、と強がっているがもし、退団を選んだら?確実に俺たちの距離は物理的にも想いもきっと変わって遠くなってしまう。
「そういえばね、特例としてリヴァイの眠るベッドをハーミット班長が運び入れてきたよ。苦虫を噛んだみたいな態度だったけどね。リヴァイがここで過ごしたくなったら眠るまで一緒だね」
まだ何も知らないティアナは屈託ない笑顔を向ける。
明日、選択を迫られた時、こいつはどう受け取るんだ。一旦それは棚上げにしてなんでもないような会話を続ける。
まだ痛みと時折発熱があることから鎮痛剤と熱冷ましは食後に飲んでいる。
その度に苦い、と言うが飲まなきゃ辛いのはティアナだ。
睡眠バランスが崩れているのをハーミットが知れば睡眠導入剤も追加されるだろうが、意識をプツリと失うのと翌朝に持ち越してボーとするのがいやで診察時に申告してないらしい。
ティアナに処方されている薬は飲んだことがない俺には医者の判断の方が大事だ。
勝手に患者が決めることじゃない。
朝の回診時にそれとなく言っておこう。と記憶のメモに綴る。
今夜は会議やら、なんやらで来るのが遅くなった。
なかなか寝付けないというティアナにともかく目を閉じろと言った。