第41章 壁外調査と捕獲作戦
ハーミットと別れ、今度こそティアナの元に行くと心許ない灯りの中、分厚い本を読んでいる。
夢中になっているのか、まだ俺に気づいていない。
俺よりも本かよ、子供じみた嫉妬から本を取り上げた。
表紙のタイトルを読むと、<知られざる巨人の秘密>
こんなつまらない本を持ち込んだのは、あのメガネに違いねえ。
もっといい本はたくさん図書室にあるだろうに、そしてティアナは何故、こんなのを真剣に読んでいるのか。
「あ、せっかく読んでたのに」
「病室でしかも、夜から読むような本なのか。これは」
「暇でしょ、ってハンジさんが貸してくれたの、結構面白くて」
忘れていたが、こいつもれっきとしたハンジ班だった。
あの奇行種に少なくとも影響を受けていることだろう。
自分の恋人がよりによってあの奇行種の影響を受けているのはどこかショックだ。
いつか、あいつみたいな巨人馬鹿になられても困る。
「明日にでも、もう少しマシな本を持ってくる。好きなジャンルはなんだ?」
うーん。と悩みながらも「たまには恋愛小説読みたいかなぁ」
恋愛小説、だと?
これまでの人生でそんなのは読んだことがない。
ただひとくちに言ってもいろいろ種類があるのだけは分かる。俺には知らない世界であって。
「具体的なタイトルは?」
「特にないけどハッピーエンドが良いなっ」
駄目だ。まったくわからねえ。こういうののお勧めってのは誰に聞きゃいいんだ。
ハンジ→論外 ナナバ→教えてはくれそうだがその後が面倒だ。二ファ→詳しそうだが結構な冊数を勧められそうなのとハンジ班なのが気になるところだ
リヴァイ班…ペトラは詳しいかもしれん、が上官の面子はどうなる?ティアナのことを言えばなんとか大丈夫か?
お勧めを聞く人選に頭をフル回転させる日がくるとは思ってもみなかった。
とにかく、明日の訓練前に頼んでおこう。
私的なことだが、理解してくれる可能性が高い。