第41章 壁外調査と捕獲作戦
執務室へ入ると補佐官用デスクについて、エリーが決済待ちの書類や、エリーのサインで済むものをこなしている。
「お疲れ様です。リヴァイ兵士長。もしお時間がありましたら今日の分だけでも処理して頂けると助かります」
「ああ、いつも済まない、直近の分はこっちにあるほうか」
「はい、そちらにまとめております。後、2~3日分に関しては分隊長で処理されるとのことですが、どうしても兵士長の承認が必要な案件もあります。締め日は調整しているので差し迫ってはいないですが」
棘を含んだ言い方だが、それも仕方ない。上官が私事で仕事を丸投げしているようなもんだ。
これ以上はいくらハンジやエルヴィンの許可があったとしても部下一人に過剰に仕事をさせるわけにはいかない。
それにティアナにはハーミットのおかげで看護師がついて日中は面倒を見てくれる。
「そうか、いろいろと苦労をかけ済まない。訓練指導の時間はこちらを優先はできないが、書類に関してはこちらでできるように努める」
それを聞いて肩の荷が降りたのか、微笑んで「では仕事前に紅茶でも入れましょう」
いつ俺が戻っても良いようになのか、書類は以前と変わらず整理されている。
色恋沙汰を持ち込まなければ優秀な補佐官であることに変わりない。
壁外調査からのほぼ不在にも関わらず、急ぎの仕事(殉職者リスト/弔問すみ遺族への慰労金のリスト、弔問に行った担当者名と対象兵士名リストなど)はすべて作成されており、後は俺が目を通してサインしエルヴィンに持っていくものだ。
ティアナの意識が戻るまでの間、俺は兵士長としての職務を放棄していた。特に弔問は俺自身が遺族と向かい合う大切な仕事なのに、だ。その間はハンジやミケ、エルヴィンが弔問に行っていたということも今知った。
あの時ティアナの意識が戻るだけを考えていた。
散った仲間たちに申し訳ないどころじゃない。
「今日はさっぱりした茶葉を選びました」
テーブルの上にあるものの邪魔にならない場所に置かれたカップから香りがふんわりと届く。
「私もサポート致しますのでよろしくお願いします」
それでもサポートすると言うエリーに口には出さないが感謝の念がわいた。
「不在の間もサポートしてくれて感謝している。これかも頼む」
そして執務室で会議の時間まで缶詰になっていた。
