第41章 壁外調査と捕獲作戦
「わあぁ~!!!ティアナ!心配したよおぉー」
ギッチリと回された腕がわたしの上半身の身動きを取れなくしている。
いつもならここら辺でモブリットさんか、二ファあたりが止めに来てくれるんだけど生憎二人ともいないし、リヴァイもいない。
「ハンジ、感動の再会は後だ。俺の患者に無理な体勢をとらせるな」
バッと離れたハンジさんはハーミット班長に向かい合い、「えっ!無理な体勢ってなに?!なに!」
「もういい、そのままそこに居ろ。診察が先だ」
大人しく後ろに控えるハンジさんはハーミット班長を睨んでいる…いや、拗ねてる。
「よし、固定はし治してるがな、熱が出るのと痛みはしばらく続く。ある程度固まってきたら足を動かすことからだ。それまでは動くな」
「え、じゃ日常生活、ってかお手洗いとかお風呂とかは??」
ハンジさんが1オクターブは高い声で班長に詰め寄る。
「なんのために人手足りないなか看護師つけてんだ。まあ、夜はあの兵士長が来るんだろ?簡易ベッドも用意しておく。じゃな」
パタンと静かに閉じられたドアの中は居心地悪い空気になる。
それもこれも、わたしが自分の怪我を認めたくなかったから。リヴァイにも皆にもひどいことをした。ただでさえ忙しいのに心配ばかりかけて時間を奪って。
「ティアナ、なんてことを!って怒りたいけどね、きっともう一番キツいのが言ってるだろうから私からは何も言わないよ。ただ、貴方は自分をもっと大事にしなくちゃ。ね」
「皆にも迷惑ばかりかけてすみません」
「そうじゃない。私達は勝手に心配してるだけだからティアナが気にすることじゃない。心配するほど貴方が大好きなんだ、って分かって欲しいんだ」
ハンジさんは優しく諭してポンポンと頭を軽く叩く。
看護師さんはそっと病室から出ていたらしくハンジさんが、「ご飯食べた??なんならここで二人で食べようか」と訊ねて来た時にドアが開いて看護師さんが一人分のトレイを持ってきた。
それを見て「ほんじゃ、私の分取ってすぐ戻ってくるから待ってて!」と勢いよく出ていった。
看護師さんはトレイをベッドサイドのテーブルに置いて「分隊長がお戻りになってから食事にしましょうか。そのあとはちゃんと寝ててくださいね」クスリと笑った。
息を切らしたハンジさんが来たのは5分後だった。