第41章 壁外調査と捕獲作戦
エルヴィンの表情は厳しくなった。
彼女の頑なな意思は自分は一番知っていたはずだ。
そしてリヴァイがどう対応するのか予想もできていたはずだ。
そこまで思って自己嫌悪に陥った。
始めから忠告しておけば良かったのか?
いや、そうじゃない。
肝心なのは、これからで彼ら二人がどうするのかだ。
「朝から大層な顔だな、エルヴィン?」
ミケが声をかけてハッとミケを見つめた。
「ノックはしたぞ、珍しくお前が気づかなかった」
そうか、と簡単に答えて朝の会議の時間が迫っていることを知った。
そんなに食欲も何もないが、ティアナの元に戻っても逆に気を使わせてしまうかも知れない。
薄目のスープに黒パン、茹でた芋とチーズの食事を終えるところにハンジやミケが揃って同じテーブルに着く。
「やあ、リヴァイ。ティアナのお見舞に行きたいけど大丈夫かな?」
ハンジにしては、神妙な態度で訊ねてくる。
たぶん、エルヴィンから聞いているんだろう。
いつもなら却下だが、ハンジの顔でも見ればティアナの気晴らしになるかも知れない。
「行きたきゃ行けばいい、あいつも喜ぶ」
パァッと笑顔のハンジは「じゃ、行ってくる!!」と食事することもなく、駆け足で病室へ向かったが騒ぐなと釘を刺すのを忘れていたな。と早めに自分も戻ろうとトレイを片付けようとするとその後ろから、ミケが「午後にティアナについての話があるそうだ」ボソッと伝えてきた。
「了解だ」
つい先ほど話したが残りの話しをそこでするのだろう。
どんな話になるのかは知らないが、今考えても仕方がない。
とにかく、ハンジがティアナを絞め殺してしまう前に止めなくては。
今度こそティアナの元に向かおうとしたがミケはまだ何かあるらしく、名を呼ばれた。
「なんだ、早くハンジからティアナを救出したいんだが」
「肝心な会議時間を言ってなかったしな」
はっきりしない物言いの会話を簡潔に終わらせるために「何時からだ」と一言で済むようにする。
「15時だ、遅れるなよ」
「わかった」
「ところでリヴァイ、ティアナが心配なのもわかるんだが、お前の補佐官にも顔出しておいたほうがいいんじゃないか」
とても常識的で言われて気づくのも間が抜けた話だ。
「そうだな、行ってくる」
先に執務室へと向かった。