第41章 壁外調査と捕獲作戦
あの時、痛みを堪えられたのは意地でもあり、途中からは感覚も麻痺していたんだと思う。
ハーミット班長の触診、手当に飛び上がる程痛みが走る。
そして班長も手荒にしている気もする。
何度も呻き声を出すと反対側からリヴァイが手を繋いでくれた。
アイシングと固定している間にカルテを書き加えて班長は予想通りに事を言った。
「お前さんが無茶をしてくれたおかげで完治は遠のいたぞ、2か月追加だ。その間は足を動かすな、生活は介助が必要だな。杖も・・治りの状況によるが遅くなると思ってけ」
自業自得な結果とある程度は予測もできていた。
「ほら、痛み止めと睡眠導入剤だ。今夜はこれがないと眠るのも難儀だろうよ」
パサリと薬の包まれた紙を置いてから、また明日の朝にでも様子を見に来るから逃げんなよ。とドアを半分開けながら班長は出ていった。
「苦いと文句垂れてたが飲め、水も多めに飲めば味を薄まるだろ」
「なんで見てるの」
「そりゃ、ちゃんと飲んだか確認が必要だからに決まってる」
「飲むよ、じゃなきゃこんな痛み耐えられない」
棘のある言葉でリヴァイは返してくる、怒りは収まってはいない。
「ほお、さっきまではそうじゃなかったような気がするな」
思わず俯いていると「悪い、言い過ぎた」と水を注ぐ音がした。
粉薬を飲んで、手渡されたグラスの水を一気に飲みこむ。
ゴホゴホとせき込んだわたしの背中を撫でながら「いくら嫌いだからってむせるような飲み方すんな」
苦さにしゃべることができず、ジェスチャーで水が欲しいと伝える。
すぐにもう一杯の水がきて、慌てて飲み干した。
薬が効いて寝るまでリヴァイが側にいてくれた。
穏やかな寝顔をじっとみて、リヴァイはため息を吐いた。
いくら現実をわからせる為とはいえ敢えて立体機動をするのを止めず寧ろ意地をはらした。
結果、更に怪我は酷くなってしまった。
(たとえばエルヴィンなら宥めて止めたんだろう)
しかし俺にはああいうやり方しか思いつかなかった。
もし、杖をずっと手放せないとなったら?
もし、歩くという今まで当たり前のことを奪ったならティアナは…
シーツからはみ出ているティアナの手を弱く握りリヴァイは朝を迎えた。