第41章 壁外調査と捕獲作戦
ドアを開ける時には、いつものエルヴィンで俺が不機嫌にこんな時間にいる理由を問いただしても飄々と躱して病室から出ていく。殴らなかったのは、甘やかな声でティアナの名を口にしていたからだ。
今までもエルヴィンは少なからずティアナに気があるのか?と何故か感じていた。
態度に出しているわけでも言い寄っているわけでもない。
むしろ自分から遠ざけてるとしか言えない行動ばかりで退団を執拗に迫ったり、わざと一人比較的安全と思われる配置に置いてティアナの兵士としての矜持を崩すようなことをしてきた。
すべて、そういうことか。あいつは敢えてそうしていたのか。
嫌われるようにしながら、エルヴィンはずっとティアナを守ってきたのか。
それなら腑に落ちる。
俺だってティアナの怪我が心配だ、だが、どこかで安心している。壁内が絶対に安全とは言えない。でもこれで巨人に食われない。壁外に行けないと別の安心も確実にある。
さっきまでエルヴィンが触れた髪を撫でる。擽ったいのかモゾモゾするティアナを起こさないように「おやすみ」と声をかけて病室を出た。
どこかで誰かが呼んでる。すごく悲しそうに。触れる手は優しくて温かくて気持ちがいい。リヴァイ?心地良い眠りの私は朝まで起きることはなかった。
自室に戻っても、もう眠れる気がしない。俺とあいつは同じ女を思っている。ティアナの心も体も俺のもので、決して手離す気はない。たとえエルヴィン。お前でもだ。
「参ったな」今夜はどうかしていた。リヴァイに弱音を見せ、ティアナの元にいたことも。団長ではなく、一人の弱い男になっていた。リヴァイは不審に思っただろう。夜が明ける前に団長としてのエルヴィン・スミスに戻ろう。俺ができるのはそれだけだから。
※※※
夢を見ていた気がするけど目覚めはすっきりしている。
もう発熱もなく、まだ足に負担はかけられないけど上半身のストレッチから始め、できるだけ筋力を落とさないようにしている。
ハーミット班長からは1か月はみておけと言われている。
きっとそのあとは落ちた筋力のリハビリも待ってる。
頑張って早くみんなと肩を並べたい。
なのに、どうしてこんなに不安なの?