第41章 壁外調査と捕獲作戦
ティアナの意識も戻り俺は溜め込んでいた書類や訓練に追われた。今まで仕事を放棄していた分はもちろん、先の分もできるだけ片付けておきたい。
「こんな時間まで仕事してんの?第二のエルヴィンかよ」
ドアから漏れる灯りでまだ仕事しているのがわかり声をかけたらしい。
「ああ」素っ気なく答えるとハンジは笑いながら美人で仕事のできる補佐官に無理させてたからね。と余計なことを言ってくる。
前半はどうでもいいが、仕事を溜め混んで迷惑かけたことに変わりない。
「ま、そろそろ切り上げなよ。じゃあね」
確かに心もとない灯りでは、文字を読みにくいし、書きにくく目も疲れてきた。
紅茶でも飲んでから、少し休もうと思って食堂で湯を沸かしていると先客がいた。
「エルヴィン。」
「リヴァイか、こんな時間までどうした?」
「お前こそ」
苦笑いしながらエルヴィンは「仕事が終わらなくてね、団長になると大変だよ」
珍しく泣き言を言うエルヴィンに紅茶を振舞うとありがとうと飲んでいる。
「お前の抱えているもんは俺たちに少しは渡せ。一人では限界があるだろう。何ならエリーを補佐官としてつければいいじゃないか。俺もだいぶ仕事は覚えたからな」
「そうだな、考えておく」
飲み終わったカップを簡単に洗って自室に戻ろうとすると後ろからエルヴィンがリヴァイ、俺はすでにお前を頼りにしてるぞ。とこいつの口から出るとは思えない弱音が出てきた。手を軽く振って、今度こそ自室に戻った。
休憩を挟んだからか急ぎ分は片付けたからか集中できず、今夜はもう終わるかと執務室に鍵をかけて私室でシャワー浴びて寝るかと一旦横になるが、寝付けない。ティアナの様子を見に行きたくなった。
暗い廊下を歩いてティアナがいる個室に近づくと微かな灯りが透けて見える。
こんな夜更けに一体なんだ?
自分が持っているランタンを消し足音を殺して近づく。
ティアナの病室に誰か人の気配がある。そっと気づかれないように中を確認すると大柄な、影が映っている。
見たことのない表情でエルヴィンはティアナの寝顔を見つめている。頬にかかった髪をそっと耳にかけている。
その手つきは大切な人に触れているとみただけでわかる。
「ティアナ」甘やかな声音はどこか苦しみを含んでいる。
そこまでだ。エルヴィン。