第41章 壁外調査と捕獲作戦
エルヴィンが話し終えるとリヴァイは団長室から無言で立ち去る。
「いつごろティアナのはっきりした状況はわかるの?」
ハンジが問う。
「ティアナの回復力次第だが、ハーミットの見立てでは一ヶ月程らしい」
「リヴァイがいたから敢えて言わなかったけど、今回ティアナを前線に出した理由は何だい?私は班長としても一緒に前線にでた者としても聞く権利がある」
長い溜息の後にエルヴィンは机の引き出しから一通の封筒を差し出した。
ハンジは封筒から出した上質な紙を取り出し読んだ。
「これは、どういう事?明らかにティアナをあわよくば壁外で死なせたいみたいだ」
「そうだろうな。信用ならない内容でこれからもティアナが狙われる可能性は高いだろうな」
ハンジが読み終えるとミケに手渡し、ミケは不愉快そうに鼻を鳴らした。
「その手紙の差出人の目星はついているのかい、エルヴィン?」
「ついている、と言いたいところだが、複数あってな。その中から絞り切れてはいない。だが、兵団を利用し兵士を傷つけた落とし前はつけるさ」
「上質な紙からして、貴族階級、富裕層の可能性も考えられる。それに殺したいくらいだ、関わりが深いかもしれないね。なら、ティアナとしてではなくアーリアとして活躍していた頃か」
「そうだな、そこまではすぐ考えつくんだが肝心のアーリアへの妬みか憎しみか、他の事情か。どちらもありすぎるんだ」
「貴族に富裕層か。私たちとは殆ど縁がないね」
「ミケ、今度から夜会等にはお前にも言ってもらう」
「仕方ないな、この手紙の匂いからわかればいいんだが」
「問題はティアナのこれからと、あわよくばティアナを殺したがってるクソッたれをどうやって見つけるかと……どうリヴァイに隠し通すか、だね」
三人はこのことをリヴァイが知った時のことを思うと寒気を感じた。あの男はティアナを殺そうしたものがいると知った時には関係ないものでも殺しかねない。
「ねえ、彼だけにはバレたくないよね。血の海ができるよ」
軽いノックがあり瞬時にみなポーカーフェイスになる。
「失礼しました、改めます」
「構わない。どうした」
「リヴァイ兵長分の書類について締切を延ばして頂きたいとお伝えに来ました」
エルヴィンが無難な返答をすると静かに退室した。