第41章 壁外調査と捕獲作戦
「てめえ!!」
勢いよくドアを開けてそこにいるエルヴィンを殴り飛ばした。
「行かせねぇって俺は言った、死にたいならもう一度言ってみろ!」
周りの兵士が驚き、集まって、それでも動けずにその場に立ち尽くしている。
今、リヴァイは半ば理性を失っている。
騒ぎを聞きつけハンジさんやミケさんもやってきた。
倒れこんだままのエルヴィン団長はそれでも強い眼差しでわたしを見ている。
「聞こえねぇのかっ!とっとと辛気臭ぇてめぇの部屋に戻りやがれ!」
「エルヴィン団長、リヴァイと二人にしてください」
ハンジさんが心配そうな視線でわたしを見ながらエルヴィン団長に手を貸している。
「君がそう言うなら」
立ち上がってエルヴィン団長は去っていく。後に続いてハンジさんもミケさんもこの場から離れていく。
ドアを閉めるとリヴァイとわたしの息づかいだけが部屋に満ちる。
「行かせねぇぞ、俺は絶対にお前を行かせねぇ。例えお前を傷つけても」
絞り出すような、リヴァイの叫びに胸が掻きむしられる。苦しんでいるリヴァイを抱き寄せて、体を預けた。
「頼むから前線に行くな」
「じゃ、リヴァイも壁外に行かないで」
二人の間には暗く永遠に続きそうな触れることもできそうな沈黙が漂う。
「お前が、お前が前線行くのとはわけが違うだろうっ」
「違わないよ」
激昂するリヴァイに敢えて静かに答える。
「俺がお前を傷つけても、か?」
「リヴァイはしない」
言葉とは裏腹にリヴァイのほうが傷ついている。
傷つけているのは他の誰でもない、わたしだ。
「わたし達は兵士だけど、その前に弱い人間で必ずいつかは死ぬ。死に方を選ぶことすらできないひともいる」
「屁理屈いうな……壁外で絶対なんてありゃしねえ、お前を失ったら俺はどうすりゃいい?」
「リヴァイ、お願い。わたしを行かせて。わたしの為に。そしてあなたの為に。あなたが失うことだけに囚われないように」
「酷ぇ、女だ。お前は…」
精一杯、抱きしめる。わたしの首筋にリヴァイの額が押し付けられる。
「約束しろ、必ず生きて一緒に帰還すると誓え」
「誓う。あなたをリヴァイを一人にしない」
「ハンジから離れるな、無茶すんな、自分にことだけ考えろ」
「リヴァイ、大好きだよ」
「俺は、俺は愛してる」
何度も約束のキスを交わした。