第40章 ※特別休暇※
「そろそろ食堂に行かないと本当にご飯食べ損ねちゃう」
腹はそんなに空いてないが今の空気を変えられるのはありがたい。
ティアナはいつだって不安を消してくれる。たとえそれが醜い嫉妬であっても。
執務室から出てまだ賑わっている食堂の配膳待ちの列に並び空いているテーブルにつく。
なんとなくいつもより、スープの具材が大きめの気がする。
「いただきます」そういってからスプーンを口に運ぶティアナと食事をしていると今は聞きたくない声が近づいてくる。
「おお!リヴァイじゃん。ここ良いかな?」
返事をする前にすでに陣取っているハンジ。その隣には申し訳なさそうなモブリットが静かに座る。
「別のテーブルに行け、飯の時までお前のうっとおしい面はみたくねぇ。飯がまずくなる」
「みんなで食べたほうが食事はおいしいもん。ね、ティアナ」
「ティアナを巻き込むな」
「あはは」
ティアナが笑ってごまかしているとハンジは明日からの仕事内容について話始める。露骨に嫌な顔をする俺の顔は見えないらしい。お土産はどうでした?ティアナがモブリット話題を振った。
「すっげー美味しかった!あれって特産品だよね!今度時間があったらモブリットに買いに行ってもらおう!」
そんな日は来ねえな…モブリットに視線を投げた。
無駄な話でせっかくの時間が潰れた。俺もティアナも食べ終えている。さっさと立ち去るに限る。
ガタッと席を立つとティアナも立ち上がった。
「えっ、もう行っちゃうの?話足りないのに」
「うるせぇ」一言だけ残して返却口にトレイを戻して私室への廊下を進むとティアナが戸惑っている。
「どうした?」
「いや、この上の階はリヴァイ達の私室があるじゃない?」
「なにか問題あるか?」
「いや、わたしが行ってもいいのかなぁと思って」
「部屋の主がいいと思ってるんだ。問題はないだろ、心配すんな、消灯時間までには送る。」
「じゃ、お言葉に甘えて」
私室の鍵を開け、ティアナを招くと彼女は石像のように固まっている。
「ぼーっとすんな、俺が入れねぇだろうが」
「あの本当に入っていいの、かな?綺麗な部屋だから入るの緊張する」
「妙な気を回すな。汚れたら掃除すればいい」
納得したようでやっと部屋に招くことができた。