第40章 ※特別休暇※
兵団の食事では出てこないパンと分厚いベーコンエッグ。
めったにないと勢いでベーコンを多めに食べると脂身で胸焼けになってしまった。レモンを浮かべた炭酸水で口内をいくらかスッキリさせると「もういいのか?」と言外にもっと食えというリヴァイに限界と伝えつつも、ちゃっかりデザートは頂き、食に興味がないリヴァイに笑われてしまった。
食事が終わるとさっさと席を立つリヴァイを追いかけるように後ろからついていくと宿の外には馬車が待機していて先に乗り込んだリヴァイが手を差し伸べ乗り込んだ。
休暇の過ごし方としてティアナはプランをいくつか考えており、その中の一つとして少々遠方ではあるが自然豊かな場所へ連れて行きたかった。
殺伐とした世界で生き続ける彼にはほんの少しでもきれいなものがあると感じてほしかった。
ゴトゴトとゆれる馬車の中でたわいない話をして目的地へと一路目指す。
街を出てからだいぶたった。景色は次第にのどかなものに変わって空気も心なしか澄んでいる気すらしてきた。
「まだ着かねえのか、だいぶ街からは離れたと思うが」
「うん、もう少し」
「さっきからそればっかだぞ」
「今度は本当にあと少しだから、ほら景色もだいぶ違ってきたでしょ」
しばらくすると馬車のスピードが緩やかになり、御者と馬にはここで待ってもらう手筈になっている。
ようやく馬車から降り上り道を歩く。目的地に近づくにつれてはしゃぐ私に呆れながらもさり気なく道の悪いところから誘導してくれる。
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やっとたどり着いた先は一面花だった。派手でも華麗な主張する色でもなく。ただそこに咲き、吹く風に揺れていた。これまで自分が生きて、これからも生きていく道とは違う時間がそこにはあった。
阿呆みたいに言葉が出ずにただ見つめてまるで違うところにきた気分だった。俺はこんな穏やかにすぎる景色は知らない。こんなにきれいな場所があることすら知らずに。
「この花はなんていう」
「紫苑。花には花言葉があって紫苑は”追憶” ”君を忘れない”」
「そうか…」
目を奪われたまま、一面の花の中にあいつらがいる気がした。穏やかな顔で笑っているのが見えたんだ。