第40章 ※特別休暇※
そこそこ飲んだ気がするのにリヴァイは顔色ひとつ変わらない。
対して私はグラングランと回る世界で自分でもわかるくらい酔っている。
「なんだ、もういい感じに酔ってんのか」
「酔ってないよ?まだいけるって」
「よし、もう終わりだ」
グラスを取り上げられ不満を口にすると水の入ったグラスを渡された。
「明日は一日中、二日酔いで過ごしたいなら飲んでもいいぞ」
ずるい。そう思いながら手渡された水のグラスを飲み干す。
チラッと隣を見るとグラスを傾けるリヴァイの横顔が大人の色気を醸し出している。
じっと見ているとからかうように見惚れてんのかとクツクツと笑う。
それすらも余裕が感じられ、途端に不安になる。
こんなにかっこよくて、優しくて、頼りになる人の傍が本当に自分でいいのか。もっと相応しい人がどこかにいて、
「おい、どうした」
「違う。余計じゃない。真剣に考えてる、きっとリヴァイには私よりもいい人がいるはずって」
はっ?と不機嫌になったリヴァイの眉間は大変なことになっている。
居心地悪い雰囲気になって内心どうしようと鈍くなってる脳を働かせる。
「お前はなにもわかっちゃいねえ。ふざけたこと抜かしやがって。」
怒ってる。どうしよう。思考停止してしまった間に勘定というリヴァイの声が聞こえ、次は自分が支払いするって言った。と思い出して急いで財布を出してお金をおいてお店を出る。
外気に当たると酔いがちょっとだけ醒めた気がした。
「金出してんじゃねえよ」
支払ったお金は開かされた手にねじ込まれ、行くぞ。と促される。
「少し歩くぞ」
繋いだ手は熱くて心臓も落ち着かない。
昼間は子供たちが遊ぶ公園のベンチをハンカチで拭いて汚れを気にしているのが可笑しくてクスクスと笑う。
「はぁ、落ち込んだり笑ったり忙しいやつだな。てめえは」
言葉とは裏腹に私の髪で遊んでいる。
「怒ってる?」
「ああ、怒ってる」
しょぼんとしていると唐突に風が気持ちいいな。と関係ないことを話始める。
「お前が落ち込んでる顔は不細工だ。だから笑ってろ。何かあったら一番に俺に言え。言わなきゃわからんだろ」
不細工って!言い返そうとした言葉はひっこんだ。
その代わりに目を細めた優しいリヴァイがそこにいた。