第39章 ご褒美?
「でね、お願いがあるんだ。ティアナ」
急に変わった緊張感を含んだ空気に何事かと真剣に見つめ返すとナナバさんは笑いながら”お願い”について説明し始めた。
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「ちょっと待ってよ!!」
「うるせぇ、こんな事してる時間が無駄だ」
「社交については一通りかじっておいたほうが後々、役に立つんだ」
「なら、お前がやれ。俺は訓練に行く」
「今回は君たちが調査兵団の主役なんだから、今はこっちに集中してくれよ、訓練指導はモブリットに任せたよ」
「チッ。」
夜会出席が決まったからにはリヴァイもダンスや挨拶、覚えることも山盛りだった。
その教官役になったのはハンジだった。
傍からみても不憫なハンジの為にもリヴァイが協力的になるように約束をしたんだ。
ここまで聞いて何となくわかった気がした。
「もしかして、特別休暇って」
「そう。人間って嫌なことでも褒美が待ってると普段よりも頑張れるじゃない?リヴァイもティアナも頑張ったからね。」
きっとリヴァイは私よりも早く特別休暇について知ってて。そしてナナバさん達が世話を焼くことも。
「ひどいです。餌に使いましたね?」
「うーん。そう言われればそうだけど、必要だったんだ。ハンジもリヴァイもストレスがすごかった。本当に」
確かにハンジさんは長期間研究ができない時みたいになっていた。
今はすっかり、いつものハンジさんだけど。
「なかなか休みをとれない兵士長を癒してやってよ、これはティアナにしかできないよ」
まぶしい笑顔で断言されると悪い気はしないのが本音。
「ご褒美ありがとうございます」
さっきまでは一言も相談がなかったとちょっと嫌な気持ちになったけど結果オーライだと思う自分はチョロイと自覚している。それよりも嬉しい気持ちには勝てない。
「よかった。今まで二人でゆっくり過ごす機会なかったよね、楽しんでおいで」
ナナバさんの部屋から自室に戻るころには深夜に近く、頂いたプレゼントを大事にしまって明日の準備をして寝る準備がすむとベッドに潜りこむとすぐに睡魔が意識を覆った。
「明日の夜はもう一人の功労者と久しぶりに飲み明かそうかな」
どの店が遅くまで営業しているかを考えていると、「ゲルガーに聞けばいいっか」ナナバは一人納得して眠りについた。