第39章 ご褒美?
リヴァイはそっぽを向いているけど多分それは照れ隠し。
「ね、リヴァイ。こっち向いて?」
「もう少しまて」
「なんで?」
クスリと笑うとムッとした顔のリヴァイが鋭い目つきになっている。
ちょっと調子に乗り過ぎた。
「ごめんね」
「お前、だんだんあの奇行種に似てきやがったな」
「えっ、うそでしょ…」
「どう思う」
「ハンジさんは尊敬しているけど、ハンジさんに似ているのは遠慮したい、かな」
二人顔を見合わせるとなんとなく、笑った。
ハーブティーの淹れ方を簡単に説明して念のため袋の中にもメモにして入れてあると伝えると「手回しがいいな」とリヴァイは口角を上げ笑った。
鐘が鳴り今夜も名残惜しく宿舎までの道を穏やかに進んだ。
※※※
リヴァイと別れ、点呼が終わるとナナバさんに部屋へ来てほしいと言われた。用件を聞いたけど、来てからのお楽しみだからと教えてくれない。そうこうしているうちにナナバさんの部屋について、「どうぞ」と初めてナナバさんの部屋にお邪魔した。
フワっと優しい香りに包まれナナバさんの香りだと気づいた。
「狭いけど、そこに掛けて」
そう言いながらクローゼットから手提げのついた紙袋を出してきた。
椅子に座って見ていると丸型のテーブルにトンっと置いた。
「開けてごらん」
これって一緒にお買い物に行った時の?
開けてみるとやっぱり。
「夜会、頑張ったティアナへのご褒美だよ」
「いや任務でしたし気を使わなくても」
「いいから、いいから。ただでさえティアナには助けられてばかりだから気持ちよく受け取ってよ」
「でも、」
「こういう時はね、先輩の顔をたてるもんだよ。他の連中からの気持ちも入ってるんだ」
戸惑っているとナナバさんは王子さまスマイルで袋を両手に抱えさせる。
ここで意固地に断るのも確かに失礼にあたる。
「ありがたく頂きますね」
「そう、はじめから遠慮せずに受け取って。ティアナに似合うと思って選んだんだ」
「ちなみに他の方とは?」
素敵な贈り物にぜひお礼を言いたいと訊ねると苦笑いしながら答えてくれた。
「ミケやハンジ、珍しくゲルガーだよ」
「私、こんなに良くしてもらっていいんでしょうか」
「良いに決まってるじゃない」
嬉しくて視界が滲む。
よしよしとナナバさんは優しく頭を撫でた。