第39章 ご褒美?
定番となった曲を歌いながら何となくリヴァイに視線を向けるとほんの少しだけ細めた優しい眼差しと交差した。
そばに寄り添いたくなり、歌い終えると息を整えて隣に座る。
緩やかに髪を梳いているリヴァイは穏やかな表情を見せている。
「もう終わりか?」
「うん。少しでもリヴァイと話したいから」
いつもより疲れている理由はきっと教えてくれない。
立場上、話せないこともあるだろうし、話したくないだけかもしれない。でも許される分だけは。
「ナナバと街に行ったらしいが楽しかったか?」
「うん、なんで誘われたのかがわからない買い物だった」
「なんだ、そりゃ」
クスクスと笑うティアナに休みをあわせて二人で街へ行こうと誘った。
せっかくの休みはゆっくりして欲しいとティアナが膨れるのも可愛くて仕方ない。
「仕事ばっかりでどこにも連れていないからな、このままじゃ愛想尽かされちまう」
驚いた顔でティアナはリヴァイを見つめて、そんなことない、忙しいのに会ってくれるだけでも嬉しいと微笑む。
「リヴァイは働きすぎだよ?たまにはハンジさん見習ってみ、たらダメだね…」
「ああ、アイツみたいにはできねえな」
プッと吹き出しハンジとモブリットとのやり取りを話すとリヴァイは呆れた顔をしている。
「ね、リヴァイ」
「なんだ」
「お土産があるの」
「?」
立ち上がったティアナは木箱の上に置いてある斜めがけのバッグから二つの紙袋を取り出して戻ってくると紙袋を差し出した。
「開けてもいいか」
顔を縦に降るのを確認して一つ目の袋を開け取り出してみるとバスソルトと書かれた包みと小さな瓶に入った香水。
もう一つの紙袋には紅茶の缶が二つ。
「バスソルトはお風呂に入れるとリラックスできるし香水は気に入ったら使ってね、お茶の方は少しくせはあるけど…ハーブティーは飲んだことある?」
「ハーブティー?」
「こっちはレモングラス、飲むと気持ちスッキリするしラベンダーは夜に飲むと眠りやすいの」
「草と、これは花か?飲めるのか?」
「草って…もうハーブだってば。初めは慣れない味だけど少しでも疲れが取れるかなって…」
クツクツと笑いながらティアナの頭を撫で自分を思って選んでくれたと思うと嬉しくてたまらない。
「ティアナ、ありがとな」