第7章 演技と本音
「ねぇねぇ、あの三人組は作戦変えてきたよね?」
「そうだな。ティアナをうまく利用して俺達にうっかりして欲しそうにしてるな。」
「エルヴィンは静観してるけどさ、私のかっわい〜ティアナが心配だよ。」
「ティアナは大丈夫だ。結果がどうあれ、ちゃんと折り合いをつけられる。」
「あの三人が本当の意味で、兵士になってくれたら一番いいんだけどなぁ〜。」
「まぁ、向こうがどう動くのか、こちらも観察するだけだ。」
「うーん。いっその事こっちについてくれたらなぁ〜」
「ハンジ。」
「わかってる、壁外調査前にまったく困ったもんだ。」
ハンジとミケが話している頃、エルヴィンは長距離索敵陣形の配置を考えていたが、ふとティアナ達について頭を巡らせていた。
ティアナとリヴァイ達の動きはハンジから報告は受けている。ハンジ達なら大抵のことは安心して任せられる。
ただティアナにすべてが明らかになった際、ティアナはきっと深く傷付く……
「ティアナ……」
結局のところ俺もティアナを利用している事に変わりはない。兵団にとっての利益を第一に考え行動する。巨人だけが相手ではないのだから。
ティアナは訓練の休憩中、急に周囲に打ち解けだした(リヴァイさんを除く)ファーランとイザベルについて考えていた。
ファーラン達の周囲への態度が自分と一緒の時と違って、お芝居じみてて、なんだか不自然で…
避けてたはずのハンジさん達とも友好的にしてる。だけどイザベルの様子はいつもギクシャクしてる。
ハンジさんも仲間として接しているように見えるけど、お互いに試しあってる。そんな感じ……
「はぁ……」
自分で言うのも可笑しいけど兵団で自分の周りに人が集まるのはハンジさん達の覚え愛でたいから。ほとんどの人から、あわよくば…と思われているのは見え見えで、まだ正直に敵視する人の方がいい。
そんな中でもファーランは賢い。自分の魅せ方を良く知ってる。何か隠してるんだろうけど……利用されているとしても……ファーランやイザベルを信じたい。
訓練の休憩時間に汗をかいた体にあたる風が心地よいなか、芝生に倒れ込み空は青いのに見上げているティアナの心は晴れることない曇り空だった。