第7章 演技と本音
お互いの思惑が絡み合う日々でも、ティアナはファーランやイザベル、リヴァイに変わらず接した。
そこにハンジも加われば賑やか過ぎるほどになっていく。
ティアナは複雑な心境を抱えながらも、訓練に精を出していたし、夜も変わらず歌っている。
ファーラン達も他の兵士達と同様に訓練をこなしていたし、リヴァイは相変わらず愛想の欠片もない。
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フラゴンは持て余す新米たちを、指導しながらも本心ではエルヴィンの言った変革の一翼の意味がわかり始めた。
実力は問題ない。だが、壁外では連携も生きる為には大事な要素だ。
最近はファーランとイザベルも打ち解け連携もとれるようになったが、如何せん一番の実力をみせるリヴァイについては打つ手がない。
リヴァイは周りなど気にせず、独断で判断し何を言っても聞き入れない。
地下から一緒にきたファーラン達と他との態度が違いすぎる。
何度もエルヴィンには進言しているが、「好きにさせればいい。」の一言だけだ。
班内ではリヴァイへの不満が募っており、部下からも苦情も増えている。
とはいえ、分隊長として他の兵士と同じく失う訳には行かない。
初めての壁外に臨むのに、これでは生きて帰れるのも帰れない。
どんなに実力があっても、絶対は有り得ないのが壁外だ。
やっと壁外調査の日程も決まった。
兵士達には明日、知らせることになっている。
手に余るリヴァイだが、全員で帰還する為にも連携も含めなんとかするしかない。
フラゴンは大きな溜息をついて、訓練指導に戻った。
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リヴァイにとってフラゴンの小言は聞く必要ないものだ。
信頼できない連中との連携なんぞ、する気もない。
要は巨人を削いでしまえばそれでいいだけだ。
だが、壁外にはファーラン達を連れていかない。
自分はともかく、ファーラン、特にイザベルを危険に晒す訳にはいかない。
どんなに反対されても、一人で行って帰ってくる。文書は、また探せば良い。
こんなに長居するつもりはなかったが、壁外調査は避けられないらしい。
それよりも一人で行くことを反対するだろうファーランとイザベルを説得しなければ。
拭いきれない不安を取り除く為にもリヴァイは一人で壁外へ行くことを心に決めていた。