第39章 ご褒美?
やっと書類仕事に目処がついてコキコキと首を鳴らす頃には外は暗く懐中時計を取り出してみるとだいぶ時間が経っていた。
執務室から出て、真っ直ぐにティアナが通る道で待つ。
しばらくするとティアナらしき人影が見えて短い距離なのに迎えに行く。
リヴァイに気づくときょとんとした表情から満開の花のような笑顔に一瞬で変わる。
胸が満たされながら同時に痛いほど締め付けられる。
手が届くと思わず引き寄せ抱きしめた。
ティアナの首筋に顔をよせると石鹸の香りに薄く花のような香りがする。
「へっ?どうしたの、リヴァ 」
首筋からすべるように頬へくちづける。
「ひゃっ!ちょっ」
いつ人が通りかかるかわからないのに!ティアナの抗議はリヴァイのくちびるで遮られた。
角度を変えて二度、三度。
名残惜しそうにティアナから離れたのに、いつもの場所へと手を掴んでグイグイと急かす。
その間リヴァイは無言でティアナは訳も分からずただリヴァイの速度に追いつこうと足を動かした。
※※※
倒木の椅子に二人で座るとティアナはリヴァイの顔を心配そうに覗き込んだ。
意外とリヴァイはよくしゃべるし、スキンシップも多い。だけど人の目がとどきそうなところではしない。
(どうしたんだろう?)
パッと見、いつもと変わらないようにみえるがよく見ると隈が濃くて疲れた目をしてる。
忙しいなか、ここへ来るために時間のやりくりをしているのは知っているけど無理はしてほしくない。
「ねぇ、リヴァイ。すごく疲れた顔してる」
「そうかもな」
「今夜はもう戻ってゆっくり休んだほうが…」
「お前に会わなきゃ休まらねえよ」
「でも」
「歌ってくれよ。ティアナの歌が聞きてえ」
ここ最近のエリーの態度に辟易し気疲れしているのは確かだ。その疲れはティアナに会うことで少しづつ消化していたが本音を言ったことで疲れが押し寄せたのも事実。
心配かけてしまったのは不甲斐ないが今はただ二人の時間を長く過ごしたい。
※※※
「夜遅くに申し訳ございません。エルヴィン団長」
「君か、こんな時間に何かな?」
少し仮眠を取ろうとしていたエルヴィンの部屋の扉の向こうから固い声がかかった。
予想していたよりも早かったな。と心の中で笑いながらエルヴィンは来訪者を招き入れた。