第39章 ご褒美?
背を丸めて出ていったエリーを見送り、ドアがきちんと閉まったのを確認してからリヴァイはどっと疲れがでたように椅子にドサッと座った。たとえばエルヴィンならもっと彼女のプライドを宥めつつ優しい言葉で終わらせるだろう。
俺はそんな話術は持ち合わせていない。
どんなにエリーが思ってもティアナ以外はいらない。
トントンと軽いノックが聞こえ入室の許可を発するとナナバが窺うように入ってきた。
「もういいかな?ミケからの報告書もってきたんだ」
「問題ない」
「はい。どうぞ。」
渡された紙のたばにパラパラと軽く目を通す。
「ああ、受け取った」
じゃね、と手を振ってナナバはすぐに立ち去った。
あまり気乗りしないが仕事は仕事。できるだけすすめておこうとペンを走らせた
※※※
(まったく、リヴァイって恋愛偏差値が低いよね)
一度目に訪れたときの雰囲気でなんとなく予想がついていた。
その後、出ていくエリーの様子でやっぱりな、とも感じていた。
意外にあの無愛想な男は女性からも受けがいい。お世辞にも目付きも口も悪いが不意にみせる優しいところに落ちてしまうらしい。
振るならもっと…いや下手に優しくするのも残酷か。
「あーぁ。この兵団の男ってほんとやっかいだよね」
廊下を歩きながら小声でつぶやいて次の予定は訓練指導だな。と意識を切り替えた。
※※※
エリーは自室のベッドに座り込んでリヴァイからの拒絶に呆然としていた。まだ自分に起こったことを受け入れられない。
「あの程度の女にどうして兵長も団長も…」
容姿も兵士としても並み程度。
夜会での立ち振舞いは驚いたがそれだけ。
どう考えても自分よりも劣っているはずなのに。
自尊心がへし折られたことがリヴァイに告げられた言葉よりも悔しい。きっとあの人には、なにかある。じゃなきゃ…
エリーの胸に沈んでいく空色と同じ暗い灯りが静かにジワリと広がった。
リヴァイは目の前の仕事に没頭していた。
報告書、稟議書、さまざまな申請書。
一枚ずつ確認して問題がなければサインしていく。
今夜はティアナと少しでも長く過ごしたい。
そう思えばいつもより手が動く。
このペースでいけば急ぎ以外の書類もだいぶ片付く。
早く会いたい。