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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第39章 ご褒美?



「ハンジ分隊長はその、とてもエネルギッシュな方ですね」
取り繕った笑顔で話しかけるエリーをチラリと目の端だけで見る。
あの夜会の時から必要以上に俺は話さないし接しない。仕事上の最小限のやり取りだけだ。

『おい、エルヴィン。補佐官はもういらねえ。』

『エリーの事か?どうしたんだ、補佐がいると仕事は捗るだろう。』

『お前の気遣いのおかげでだいぶ仕事には慣れた。もう補佐なしでいい。』

『そうは言っても彼女は良く気が回るし仕事も早い。俺としてはまだまだお前には必要だと認識しているが。』

『…わからねえか?俺はいらねえ、と言ってる』

『まあ、そう言うな。せっかく優秀な補佐官をつけたんだ。大事にしろ。』


※※※

エルヴィンの奴。胡散臭せぇ笑顔で言いやがって。
確かに仕事はできるが、あれ以来この女の鬱陶しい視線付きだ。


「リヴァイ兵長?」

「なんだ」

「こちらの書類が仕上がりましたので確認を」

「目を通すから、そこに置いておけ」

「急ぎのもので…」

うんざりしながら書類の束を受け取る。

「兵長、お茶にしませんか」

媚びるような目付きで提案するエリーの矛盾に怒鳴りたくなる。

「は?今なんつった?急ぎの仕事なんだろうが。」

冷たく言い睨みつけると慌てて謝罪する。

ピリッとした空気を放ち黙々と書類に目を通してサインする。
紙をめくる音、ペンのたてる音。時おり感じる視線で煩わしい事務仕事が余計にイラつく。



※※※

午前中で嵩張る書類を捌ききって午後からは訓練に入る。昼食後の訓練なので昼休憩は二時間。
軽いウォーミングアップは済んだようだ。
いつもの訓練に俺も参加すると少しザワついたが構わず訓練を続けるよう指導教官に声をかける。



※※※

「休憩だ」

予定の訓練半分を終えた頃、少し離れた木陰で汗だくの部下が休んでいる。

「疲れているな」

頭上からミケの声がした。
そういえば同じ訓練場だったか。

「別に」

「そうか?」

「そうだ」

「なら俺の勘違いだな」

スンっと鼻を鳴らしたがミケはそれ以上は何も言わず木に凭れかかり手にしていた皮袋の飲み物を飲んだ。

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