第39章 ご褒美?
やっぱり誰かにプレゼントなんだろうな。もしかしたら班の女の子たちかも知れない。
たまに「ナナバさんから、良かったらどうぞ。って頂いたの~」と嬉しそうに話しているのを見たことがある。
こういうところが王子様って言われる所以かな。
あっさり、サラリと商品を選ぶのを見ながら、自分が愛用している香油が籠に入るのを見て、忘れていた購買意欲がフツフツと湧いてきた。
(あ、これいいな。)
あまり強くない柑橘と森の匂い。リヴァイに使ってもらえるかな?気に入ってもらえるかな。
ユニセックスな香りだから、もし気に入らないなら私でも使えるし。
「何を見つけたのかな?」
いつの間にか買い物は終わったらしいナナバさんが顔を覗き込むようにしている。
「こういう香りも素敵だな。と思って。」
「そうか、うん。いい香りだね。プレゼントしたいな」
「これは自分用ですから。自分で買いますよ」
笑顔のナナバさんに笑顔で返すとプレゼントしたかったのにな。と珍しく不貞腐れた表情で別の商品を見に行ってしまった。
ナナバさん一人分にしては多い商品をサラッと購入する頃には時間もそれなりに経っていた
「ちょっと疲れたね。この先に確かお茶が飲める店があるから一休みして本部に戻ろうか」
荷物を持とうとするも「自分の買い物だからダメ」と言われたが先輩でもあるナナバさんの手から荷物を(半ば)奪いとり、二人で新兵でも目立つオルオや可愛いのに気が強いペトラのコンビについて話したりしているとおしゃれなカフェについた。
流石、ナナバさん。どこまでも王子様だ。
席につくと店構えだけじゃなくメニューも凝っていて人気の店なんだ。という言葉に納得した。
本日のオススメを頬張っていると「おいしい?」と聞かれ、頷くと満足そうな顔のナナバさんが「今度はみんなでこようか。」と言ってから、すぐに「ハンジ抜きで」こそっと言ったのに思わず吹き出しそうになった。
「せっかくの休日を私に付き合ってもらったから」
「こういうのは先輩が支払うんだよ。」
そういってカフェの代金を受け取ってはくれなかった。
「ありがとうございます。ごちそうさまでした」
「こちらこそ。またデートしてくれると嬉しいな」
ナナバさんは口元に指をあてていたずらっ子のように笑った。