第38章 気乗りしない夜会
帰りの馬車は気まずい空気に満ちてリヴァイは脚を組み外を見てエリーの存在すら拒絶している。
エリーも俯き加減でエルヴィンの振る話にも生返事だ。この息が詰まる中で世間話なんて出来ない。エルヴィンは無事任務を終了した事を労う。
早く兵舎に戻りたい。昨夜のリヴァイは同じベッドで過ごすと言って聞かなかった。ティアナは戸惑ったが強引にベッドに引っぱられ、結局リヴァイに添い寝し朝を迎えた。
早朝、着替えを持っていなかったティアナは兵服に着替えるため、こっそり戻り荷物を手早く纏めて朝食を食べた。
そしてこの馬車に揺られている。
「どうもみんな疲れ果てているようだな」
誰にともなくエルヴィンが口にするとリヴァイが、もう二度と行きたくねえな。と答えるとまぁ、そう言うなと目の奥は笑っていない笑顔で宥める。
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やっと着くとハンジとミケが出迎えるがリヴァイは素通りしてハンジは何あれ!と不満げに呟いた。
「留守中変わりはなかったか」
「なんにもなかったよー!普段より良い子にしてたよ!!」
「そうか」
「とりあえず中に入って感想聞かせてよ!」
「そうだな」
元気なハンジがエルヴィンに口頭で報告すると、団長室に集合するように簡潔に命じた。
「ねぇねぇ、巨人捕獲に理解ありそうな偉い人いた?巨人に興味持ってくれそうな人いた?」
肩に手を回して目を輝かせるハンジはティアナが荷物を置いて団長室へと足を動かす間もずっと訊ねてくる。
底抜けに明るいハンジさんに戻ってきた。と実感する。
「ところでさ、リヴァイなんであんな機嫌悪いの?そりゃ、彼からしたらい〜や〜な会だったと思うけどさ。あなたもエリーも引き攣った顔してたし。」
「あ〜。私もよく分からないんですよね」
「ふぅん」
いくつかはこれかな?って思うけど…でもそれだけじゃないような。リヴァイに訊いても教えてくれない気がするし。
アレやコレや話しているうちに団長室に着いて、中に入ると、エルヴィンは勿論、ミケ、エリーは居るもののリヴァイは居ない。
「あっれぇ〜。リヴァイ来てないの?」
「ハンジ、呼んできてくれないか」
「ヤダよ!絶対蹴られる!痛いんだよ、本当に!ミケが行きなよ!!」
誰がリヴァイを呼びに行くか、騒いでいるとノック無しで無表情のリヴァイが入室した。
