第38章 気乗りしない夜会
カァァと顔に熱が集まる。シャンパンのせいじゃない。
「仕事とわかっていても、エルヴィンのパートナーってのも他の虫どもがお前に集るのも腹が立つ。」
「他の相手はもう十分だ。俺のそばにいろ。」
「そんなこと言っても…リヴァイもエリーさん、エスコートしなき」
「ティアナが良い。」
じっと逸らさないまっすぐな瞳。
「リヴァ」
「こんなところにいたのか。今夜の主人公が消えては駄目だろう。エリーもひとりぼっちで可哀相だ。」
「チッ。知るか。」大きな舌打ちをしながら不意に現れたエルヴィンにリヴァイは鋭い目で睨みつける。
「さあ、いい加減戻ろうか。エリーもリヴァイのフォローを続けてくれ。」
顔を伏せたエリーはトンと背中を押されリヴァイとティアナのそばに寄る。
「エルヴィン。俺はティアナとまわる。後は勝手にしろ。嫌なら俺とティアナは帰る。」
音が鳴りそうな睨み合いで折れたのはエルヴィンだった。
「帰られては困るな。仕方ないエリー、君は私のパートナーだ。リヴァイ、ティアナを紹介する時は”団長補佐”で頼むよ。」
エリーの手を取りクルリとリヴァイ達から背を向けて煌びやかな会場へと戻って行った。
「……食えねえ野郎だ」
「そろそろ戻ろう、リヴァイ。」
「わかってる。」
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「おや、エルヴィン団長殿?リヴァイ兵士長殿の補佐官とご一緒ですかな?」
「我が兵団のもう一輪の華をご紹介したくて交代致しました。」
「なるほど、調査兵団には麗しくも儚い華が咲き誇っていらっしゃる。」
エルヴィンのそばでエリーは作り物の笑顔を浮かべた。
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「あら、リヴァイ兵士長。どちらに雲隠れなさっていらしたの?お探ししてましたのよ。」
「…飲み物を取りに……」
「まぁ。そうでしたの。そちらは?」
「お初にお見にかかります。団長補佐をしております、ティアナ・ディーツと申します。どうぞお見知り置き下さいませ。」
「さすが団長補佐でいらっしゃること。兵士長との先程のワルツも素晴らしかったですわ。」
「お褒めにあずかり光栄です。」
「それはそうと、兵士長。紹介したい方がいますの、どうぞこちらへ」
眉間の皺が僅かに深くなるリヴァイを促してリヴァイと共に貴婦人の後を着いて行った。