第38章 気乗りしない夜会
華やかさを集めたようなフロアの中心で一組の男女が踊るのをまわりの貴族たちも見惚れた。
ゆったりとしたワルツだが、体幹はブレず、しっかりとしたホールド。リヴァイが右足を出せばティアナは左足を下げる。
「こんな感じでいいのか?」
「うん。リヴァイのリードがいいから踊りやすい。」
「さっきの奴はどうだったんだ?随分楽しそうだった。」
「笑顔もダンスの内、なの。」
少しだけ意地悪そうに笑うティアナはリヴァイも笑ってよ。と無理難題を言う。
「おかしくもねぇのに笑えるか。」
リヴァイから視線を外さずにティアナはクスクスと笑いながら、そうね。本当に。と呟く。
音楽が終わり一礼しホールから離れようとする二人に見とれていた紳士淑女たちが群がる。
にこやかに断りを入れるティアナにぶっきらぼうに断るリヴァイ。
残念そうに彼らを見送り他の相手を見つけ、また踊り出してダンスは続いていく。
リヴァイとティアナはちゃっかり手にしたグラスと反対側の手を引きホールから抜け、整えられた庭のベンチに並んで腰を下ろす。
首元のタイをウザったそうに緩め、手にしたグラスの琥珀を口にする。
さわさわと夜風が吹き花の香りがフワリと香る。
「堅苦しいパーティー会場よりここの方が落ち着く。」
「そうね。こういう場は疲れちゃう。」
奏でられる音は少し遠い。
「…腹が立って言い忘れていたが。」
「ん?」
「その、なんだ…今夜のお前は悪くない。」
そっぽを向きポソッと話すリヴァイはグラスを傾ける。
遠回りな褒め言葉にティアナは燻っていたモヤモヤが晴れていくのを感じた。
「リヴァイもすごく似合ってる。女性陣が浮き足立ってた。」
「チッ。人の事舐めまわすように見やがって気持ちわりぃだけだ。」
「だってリヴァイ立ってるだけで様になってるもの、彼女たちの気持ちもわかる。」
途端に不機嫌そうにこぼすリヴァイにティアナは宥める。
「きっと、戻ったらお誘いすごいと思う」
更にリヴァイの機嫌は悪くなってしまう。
「いいのか。」
「えっ?」
「俺が訳分からん女と話しても構わねえのか?」
ティアナはまた湧き出る感情を隠そうとするがリヴァイはティアナの顎に手をかけ顔を自分に向き合わせる。
「どうなんだ?」
「よく、ない。」