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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第38章 気乗りしない夜会



渋々とエルヴィンの命令を受け入れたティアナは通常業務を淡々と行いながら用意をしなければいけなかった。

まず、エルヴィンの用意したドレスとアクセサリーは目を引く上に訓練で筋肉もついたティアナには不似合いなものであった。
また兵士をしていれば当たり前の傷やベルト痕は好奇に晒される。可能な限り地味に。質素に。夜会に出る人間はまず見た目を重視する。それを逆手にとるには…

※※※

「せっかくのティアナのご希望だ。引き受けたよ。」

「いろいろと面倒な条件をつけているけど用意できる?」

「もちろん!欲を言えばもう少し時間の余裕があればよかったかなあ。でもティアナの要望は全部取り入れるし用意するよ。」

「さすがクルト!ありがとう!!」

「まあ、滅多にないお願いごとなんだ、力を尽くすけど、まずは君のサイズを知らなきゃね。」

「何度もフィッテングなんてできないし、この紙に今のサイズを書いたから、そのサイズとデザインで。」

「大分シンプル過ぎてこっちとしてはそれが気にいらないところだけど。」

「これにも理由があるの、それでどの位で用意できるかしら?」

顎に手をあて、クルトは少し考える。

「そうだね。かなり急かして夜会の前日までには確実に。」

「本当に助かるわ。」

「アクセサリー類はどうするの?」

「それについては手持ちのものを使うから大丈夫。」

「そっか。せっかく君のドレスアップ姿なのに少し勿体ない気もするけど、公演にも出てくれたし。こんな事でいいならいつでも頼ってくれると嬉しい気分だね。」





クルトは無茶な要求に十分すぎる程に応えてくれた。
夜会の前日ではなく、それよりも早い三日前には、ティアナの要望どおりのドレスが届き、自室で何度か袖を通して予想以上のドレスに満足した。イブニングにしては地味で露出の少ないドレス。これこそがティアナが望むものだ。

対してエリーのドレスは夜会に相応しく上品であり女性としての魅力を余すところなく引き立てていた。

(これでいい。華やかなのはエリーに任せて私は可能な限り彼らの興味を引くことなく無事に乗り切ればいい。)

ガタゴトと不安定な道は思い耽っているうちに、きれいに舗装された道になって、もう少しで今回の夜会会場まではもう少し。

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