第37章 13代団長就任と幹部任命
結局、リヴァイは来なかった。
ジリジリと過ぎていく時間とともに萎んでいく気持ちを立て直そうと思いつく理由をあげていく。(きっと急な仕事が入ったんだ。だって彼は兵士長で壁外調査もそろそろだし重要な会議とかで忙しくて……寂しいのも我慢してるのも自分だけじゃない……)
時間ギリギリまで夜空を見上げながらたくさんの”きっと”を積み上げる。
それでもキリキリと痛む胸を無視して立ち上がる。(今夜は無理でも次はきっと会えるから。)
ゆっくりと宿舎へ歩きながら雲がないから明日は晴れ。明日はナナバさん達との訓練だ。気合いいれなきゃ。あぁ、訓練準備もあるな。ハンジさん、お風呂に入ったかな。
あちこちに飛ぶ考えを明日で塗り変えて静かに部屋へ戻り点呼の後はベッドに潜り込み流れる水分を乱暴に拭って顔を枕に沈めた。
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クソ長い一日が終わり着替えもせず本部から走る。
点呼はとっくに過ぎている。
でも、待ってくれるティアナの姿が浮かんで逸る足は速度を緩めない。
目的地についてぐるりと回りを見渡す。
「ティアナ」
気配も声もあるはずがない。
「クソっ!」
どこからどうみても俺が悪い。
どんどん深く広くなる溝がどうしようもなくなる前にあいつをちゃんと抱きしめて気持ちを伝えねぇと繋ぎ止めておかねぇと俺は絶対に後悔する。
嫌な汗が背を伝う。焦りと不安が押し寄せて足早にティアナの部屋へ向かう。
消灯時間は過ぎてもまだポツポツと点いている灯りのなか、ティアナの部屋は真っ暗で窓の近くに寄っても物音一つしない。眠っていないはずだ、気づいてくれ。頼むから顔を見せてくれ。
コツン。控えめに窓を叩く。
少しだけ待って同じことを繰り返す。
※※※
窓から合図の様に音が鳴り続けている。
多分、リヴァイがそこにいる。
来てくれた。本当は嬉しくてすぐにでもカーテンも窓も開けてしまいたい。でも何かが私を引き止める。
お願い、もう帰って。寝ていると思ってほしい。
「すまない。俺が悪かった。頼むから開けてくれないか…」
誠実に言葉をかけてくれるのに。彼だって破りたいわけじゃなかったはず。わかっているのに。
素直になれない自分が嫌になる。
「また来る。」
そう言い残して足音は遠ざかっていった。