第37章 13代団長就任と幹部任命
「は?」
呼び出しされたリヴァイは不愉快そうにエルヴィンを睨みつける。
エルヴィンの執務室にはミケやハンジも揃っている。
にこやかに笑いながら上質な紙をヒラヒラと振るエルヴィン。
「豚どもの見世物になる気はねぇ。」
「これも仕事の一環だ。ただ彼らの好奇心を満たせばいいだけだ。」
ウォール・マリアが巨人に陥落したことで皮肉にも調査兵団が注目され、新団長や新たな役職の兵士長や分隊長宛で夜会の招待状がシーナからきたことが発端だ。
「そんなもん、俺抜きで行け。豚の機嫌をとる気は無い。」
「そうもいかない。彼らの資金で兵団の運営も成り立っている部分もある。」
穏やかな表情ながらも目が笑っていないエルヴィンはリヴァイの睨みを受け止める。
「彼らは我々に興味津々でね。もう招待状の返信は送ってある。リヴァイ、聞き分けろ。」
「俺も行きたくはないが…ただ、突っ立って頷いていればいい。」
「そうそう。右から左に流しときゃいいんだよ。それに返事しちゃってるんだ。逃げらんないよ」
ミケもハンジも渋るリヴァイになんてことは無いと説得する。
地下から地上に出て今度はシーナの貴族どものご機嫌伺い。目まぐるしく変わる自分の立場に辟易する。
しかし兵団運営に関わるならば仕方ない。
苦虫を噛み潰したようにリヴァイは頷いた。
「話はわかった。が、何故こいつもいるんだ?」
一緒に呼び出されたエリーを親指でさして問う。
「それは今から説明する。」
※※※※※※※※
訓練の指導は削られ、その代わり夜会での振る舞い、ダンスの練習が加わった。
夜会に何度か出ているメンバーから基本ステップを習い、筋が良かったのかすぐにある程度は習得した。しかしダンスの際は笑顔でと何度も言われても無理な話だった。
正装の為に採寸をとり、細かなフィッティングをして誂える。
それでも書類仕事は待ってくれない。確認しサインをしているとエリーはリヴァイに休憩しましょうと提案した
「リヴァイ兵士長、少し休憩にしましょう、香りの良い紅茶が手に入りましたから淹れてきますね。」
エリーが席を立つと気が緩んだ。
もう、だいぶティアナに会えていない。
ハンジからは「元気だよ」の一言のみ。
(あの場所にも来ている様子もない)
寝る間を惜しんで足を運んでも、ティアナはいない。
