第37章 13代団長就任と幹部任命
訓練やハンジの得体のしれない研究に追われながらもティアナは落ち込み気味だ。
リヴァイが兵士長になり、傍目からも忙しそうですれ違っても目を合わせることもない。敬礼をして通り過ぎるのを見送るだけだ。
リヴァイの隣のエリーが通り過ぎた後には優しいジャスミンの香りが漂う。
兵団は変化に柔軟に変わりつつあるのにティアナはいつまでも慣れずにいる。
「そんなところで、どうした?」
ハッとするとエルヴィンが背を屈め顔を覗き込んでいる。
敬礼に力を入れ直し「団長、失礼しました。」と答えるもエルヴィンは笑顔で直れと手を振り、「調子はどうだ?」と訊ねてくる。
以前のように険悪な雰囲気はなく、柔和に接してくれる。
「ハンジさんのお使いに出るところです。」
「そうか。無理はするなよ。」
笑顔でエルヴィンは返し肩を軽く叩いて廊下の先を歩いていく。
その後ろ姿をボンヤリと見送りハンジのお使い先のナナバの元へと向かった。
※※※
午前中の事務仕事が終わり食堂のテーブルにつくとエリーは上官である自分の食事を取ってきます。と気を遣うが食事のトレイくらい自分で取りに行ける。と一緒に並んでトレイを取る。
初めこそは食事を摂らずに書類と格闘していたがエリーに食事をきちんと召し上がらないと午後のパフォーマンスに影響が出ます。と言われ納得し3食キッチリと摂るようになった。
食堂に着くとティアナの姿を探すが滅多に見かけることもなく、見かけたとしてもハンジ班の誰かと一緒だ。
時には知らない男や女に囲まれ笑顔で食事を摂っている。それを見ながらリヴァイはイラつきながらもエリーが押さえてくれた席でエリーや他の幹部連中が話してるのを聞き流して黙々と食事を済ます。
もうだいぶティアナとの時間を過ごしていない。
チラりと見遣るとティアナの横に座っている男が背中をさすってティアナは笑顔で話している。
「どうかなさいましたか?」
「なんでもない。」
明らかに不機嫌な声でエリーに答えてしまったが気にしてないのか、お代わりの紅茶を注いで「どうぞ」と勧めてくる。
今、俺が1番嫌いな時間は食事の時間だ。