第37章 13代団長就任と幹部任命
もう何度目になるのかわからないくらいに祝いの言葉とカチンと合わされるグラスの音。
一般兵士たちには黒ビールが振る舞われているらしくティアナもその手にジョッキを持っている。
普段は飲まない酒に、目尻や頬が赤くなっていていつもよりも砕けた雰囲気だ。
(面白くねえな)
せっかくの機会に別に酒を飲むな、とは言わないし言えないが上気したティアナはあの夜にリヴァイだけに見せた顔に似ている。
そんな顔を誰にも見せたくない。他の奴らの前では。
「おい、こっちに座れ。」
すでにハンジの横にはモブリットが座っているし問題はないだろうとティアナの腕を取って自分の横に引くとバランスを崩しそうになるティアナを支えて無事側に座らせた。
他のハンジ班も思い思いの席に着いてはしばらくすると他のテーブルへとフラフラとした足取りで移っていく。
普段よりもテンションの上がっているハンジの被害を最小限に抑えようと悪戦苦闘しているモブリットの努力も虚しくリヴァイと横にちょこんと座るティアナをみて、ニマァと絡んできた。
「2人とも仲良しだねえ!」
面倒くさいことになりそうだ。と察したリヴァイは「絡むんじゃねえ」と鋭い視線で牽制するもハンジは怯む事は無い。リヴァイの横のティアナはハンジの言葉に嫌な予感を感じながら、そっと席を立とうとするが、それをリヴァイはテーブル下で手を掴んで許さない。
酔っ払ったハンジはある意味無敵だ。
「もうさ、言っちゃいなよ!悪〜い虫が付いちゃう前にさ!ねえー!リヴァイ!!」
リヴァイは動じることなくハンジをスルーするもそれなりに酒の回ったミケが「同じ匂いがするものな」とハンジの援護射撃をする。
さっきまでフワフワしていたティアナも一気に醒めてどういい逃れよう、ハンジさん!言わないでって言ったのに!と回らない頭でグルグルと何とか場を納めなければと同じテーブルに着く面々をチラリと見ると、生暖かい視線がリヴァイとティアナを見守っている。
これはきっと何を言っても無駄なのでは…寧ろ……
リヴァイも反論するつもりは無いのか、手元のグラスに口をつけている間にもハンジは「認めちゃいなぁー!ほぼバレてるしー」と追撃する。
「へえ、2人はそういう仲良しなんだ?どこがいいの?この仏頂面の。」とナナバはニッコリと笑った。
