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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第36章 変化※



リヴァイは点呼に何とか間に合い、自室に戻ると情事特有の匂いに少しだけ顔を顰めた。
換気のため窓を開け、自分のベッドに腰掛ける。

さっきまでの熱気はシーツに残っていなくて冷たい。

しかしシーツに染みた薄い赤がティアナの姿を思い出させる。できるなら彼女を朝が来るまで抱きしめたかった。
眠るティアナを眺めて彼女の温もりを感じて寝てしまいたかった。

「はぁ…」
満たされた気分と寂しいような気持ちが綯い交ぜになって溜息となって零れる

綺麗好きな彼にしては珍しくすぐにシーツを取り替えずにしばらく一人余韻に浸り、渋々と立ち上がりシーツをランドリーボックスへ入れ、洗いたてのシーツをキッチリと敷き直し横になると枕からティアナの甘い香りがする。
その香りを感じながら目を閉じた。



ティアナもまた、点呼に間に合い部屋に戻って寝巻きに着替える前に軽く体を拭き着替えると下腹部に手を当て、奥に広がるじんわりとした感覚のままベッドに横になっていた。
粗暴な言葉ばかりが出てくる口からは自分を労り、気持ちを伝える時の表情。
優しく触れる手、いつもの鋭い目付きが細まり……
思い出せば思い出すほどカァっと顔も体も熱くなった。
いつもならすぐに寝付くのに頭の中はさっきまでの熱にとらわれて寝返りをうってばかりでなかなか眠りにつけなかった。


それでも朝は来て支度を済ませ食堂へと向かう。

「ねえ、体調悪いの?」

「そんなことないよ!」

友人からティアナは何度か訊ねられるが、まさか昨夜の事は話せない。

「ふぅ〜ん」

色々と詮索しそうな友人を急かしてトレイに乗ったスープを口にする。

そこにモブリットとハンジが同席し食事を続けているとモブリットがティアナに尋ねる。

「あれ、ティアナ。隈が出来てるけど眠れなかったのかい?」

ハンジも食事の手を止めて「ホントだ」とマジマジと覗き込む。

「いえ、ちょっとだけ寝つきが悪かったので…」

「悩み事?ハンジさんに話してごらん。解決してみせよう!」

どこかウキウキとしたハンジを止めるかのように後ろから持っていたトレイでリヴァイが叩く。

「ブッ!」

「朝からうるせぇ。」

「朝からヒドイなぁ、全く。」

普段通りのはずなのにティアナはリヴァイの顔が見れなかった。


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