第36章 変化※
「具体的に兵士長ってのは何するんだ。」
「兵士達の指導や訓練はもちろん、分隊長らからの書類の精査、接待など…」
「ウザってえことばかりだな。」
「…ある程度の人事権、自分の班の編成も任せる。」
話が終わるとエルヴィンは皆を執務室から下がらせた。
「これからもよろしくっ!」
バンッと背中を叩くハンジに睨みを効かせながらリヴァイは立ち去った。
訓練場の木に寄りかかりながら、リヴァイは考えていた。
エルヴィンから言われれば本気で拒否するつもりは無い。自分には見えない何かを見ているエルヴィンについて行くと決めた日から。
だが、自分に”兵士長”なんてのが務まるのか不安はないと言いきれない。
「チッ」
こんな時にこそ、ティアナに会いたい。
(夜まで待てねえな)
訓練が終わり次第ティアナの元に行こうと時計を確認した。
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「引き受けてくれるかな、エリー。」
「はい。勿論です。」
「ありがとう。君なら彼らともうまくやれるはずだ。」
「自信はありませんが尽力致します。」
優しく微笑んだエルヴィンは他言無用を言い含めエリーと呼んだ女性兵士を下がらせた。
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「ティアナ。」
「わっ!リヴァイ!」
「化け物でも見たような顔すんな、傷つくだろうが。」
「そういうつもりじゃ、ビックリしただけ。」
「冗談だ。今から飯か?」
「うん、ハンジさん達の席取りも兼ねてね。」
「チッ、あのメガネは自分のことも出来ねえのか。」
「忙しいんだって。通常業務に研究に研究…」
指を折りハンジの業務を数えていく。
「俺も一緒でいいか。」
「もちろん!きっとハンジさん喜ぶよ!」
「アイツに喜ばれても嬉しくねえな」
食堂へ歩きながら話しているとゲルガーに出くわした。
「よお、二人とも相変わらず仲良いな。」
「うるせぇな。構うな。」
「ゲルガーさんは食べ終わったんですか?」
「おう、サッサと済ませて酒飲みたいからな。」
ゲルガーは二人を飲みに誘うがリヴァイにすげなく断られた。
「まあ、今度は付き合えよ!」
手を振って笑いながらゲルガーが立ち去るとリヴァイは舌打ちした。
「…何かあったの?」
「何でもねえよ、アイツがうるせえと思っただけだ。」