第35章 845
それからの日々は一体何をしていたかは記憶が定かでは無い。
それは多くの人がそうだった。
一日を生き残る為に必死だった。
残念ながら兵団関係者は帰還を確認しあうすることも出来ず、それぞれが指示に従い人々を避難所に集め、ローゼだけではなくシーナからも届いた物資で避難民の手助けをする。
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あれから数ヶ月。
避難民も狭苦しい避難所から親類縁者を頼って離れ、徐々に避難所も落ち着き始めていた。
頼る人がいない子供や大人は怪我で動けない人達以外は開拓地へ行くようにと王政府が決定した。居住区域が少ないのと、何より食料不足が深刻な問題になりつつあるからだ。
怪我で動けない人達も十分とはいえない急拵えの医療施設で動けるまでは介護を受け、動けるようになれば、やはり開拓地行きだ。
誰もが疲れ切っていた。トロスト区の住民はシガンシナなどから来た避難民とぶつかることも多く治安も悪くなっている。
駐屯兵団はかつてないほどに街の見回りなどを強化し、これ以上の治安悪化を防ぐのに手一杯。
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市民たちは巨人の脅威を知った。
壁の外で巨人を倒しながら進む調査兵団に期待と希望を寄せるようになっていた。
「おっ、調査兵団だ!頑張ってくれよ!!」
「早く巨人を全滅してくれ!」
そんな声もよくかけられるようになっていた。
調査兵団も本部に戻り、先の調査の結果の報告などに追われた。
医療隊総出の市民への治療も落ち着き、今は兵団内で持ち場に戻っていた。
ティアナの医療隊への異動は臨時であり、今はハンジ班に戻り行動をともにしている。
「この報告書の確認とサインをお願いします。」
「わかった、そこに置いといてー!」
「至急なので今すぐですよ!」
ハンジの色々なもので積み重なるデスクに置いてしまったら最後、いつ提出できるか、分からないだろう。
ティアナはそう言って渋々ハンジを書類にむかせサインを勝ち取る。
「あー、それエルヴィン行きのかー、よし、私が持っていく!」
ハンジは今、巨人の生体、捕獲の研究についてエルヴィンに迫っているので、何かとエルヴィンの元へと行きたがる。
以前には決して戻れないが意気揚々とし始めた、そんな中、兵士全員は団長キースが退く。と告げられた。