第35章 845
長すぎる一日、夕暮れになると動きが鈍くなる巨人が多く、駐屯兵団は退避しつつ守りを固めていた。
調査兵団の帰還予定は先であり、壁外に出ている彼らにはこの惨状を知る術はない。
そんなときだった。
壁の近くから多くの馬がたてる砂煙。もしかしたら。。
駐屯兵団側からも、調査兵団の帰還が目視確認できると砲弾の用意を整えた。
壁の上から援護の砲弾が降り下りる。
「そろそろ壁だ。無駄な動きはせず、ただ壁へ向え!!」
周囲の巨人が少なくなったところを全速力で駆け抜ける。マリア内は既に巨人が蔓延っている事を聞き、周囲の巨人は削ぎ、壁に登ってリフトで人馬を多く運び壁の上を走る。兎に角トロストへのルートを急ぐ。
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どこからか調査兵団が戻ったと、一部喜ぶ声が上がるが俄かには信じられない情報だ。
既にマリアからローゼへの外壁、内壁ともに閉じられ行き来は困難だろう。
不安がティアナを襲うが今はそれを感じている時間がない。呻き声や、押し殺した泣き声、悲鳴を上げ起き上がる人。ティアナは救護室近くの比較的軽症者のテントに配置されたが、ユンカーらは今も生死をさまよう重症者の対応に追われている。
生き延びた人も多いが死亡者もまた多く。
死亡者は別のテントに運ばれていく。
その数の多さは人の心を抉るには十分過ぎた。
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夕暮れギリギリまでリフトを最大限に利用する為、リヴァイを含んだ兵は近づく巨人の項を削ぎ落す。
壁の上から立体起動駆使し、斬撃を与え、その間にできるだけの人馬をリフトで移動させる。時間を稼ぎ仲間を壁上へと、うんざりするほど繰り返す。
「クソッ!」
リヴァイは壁上から地上へ向けダイブし巨人から巨人へとアンカーを飛ばす。
ブレードを肉に食い込ませ一気に削ぎ落す。
生臭い匂いに顔を顰めるが、次から次へと巨人は集まってくる。
アンカーを巻き戻して壁上へ戻り、移動した兵が半分残していったガスとブレードに取替える。
疲弊の色が濃くなるなか、やっと撤退の指示が出て殿をミケ、ハンジとともに務める
「さて、もう一勝負だ」
さすがのハンジもゴーグルの奥を光らせ、巨人を屠りさる。
団長、分隊長、一般兵の多くはトロスト区へ向かった。
あとは自分たちのみ。