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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第34章 再び異動と甘すぎる夜



「本当に良かったの?」

「何がだ。」

「あの子を第一に行かせたことだよ。」

「団長の決めたことだ。」

「あなたがそう仕向けたでしょ、エルヴィン。」

「何のことだ。」

ハンジを見ることなく手元の書類を確認しサインをする。
ハンジの危惧はわかっている。第一は壁外後に最も苛烈を極める。命の優先順位、選別。壁外調査とは違う過酷な場所だ。

「まだ、退団させたいの?ティアナをボロボロにしてでも?」

退団。本音を言えばそうだ。

「ティアナが選んだ道だ。壁外で散る命も壁内で散る命も兵士として見続け、進めるのか。」

「結局のところあなたは彼女を地獄から救いたいの?それとも地獄へ落としたいの?」

「どちらもだ。」

「私にはあなたが理解できないよ、エルヴィン。」

「理解しろとは一言も言っていない。
私は兵団の人間だ。そしてティアナもそうだ。綺麗事だけではいられない。耐えられないなら去ればいい。それにティアナは弱くないと言っただろう?」

「ティアナは弱くないけど、苦しむのがわかってて突き落とす?それとも苦しんでいるティアナにタイミングよく手を差し伸べるのかな?」

エルヴィンはハンジを見据えると「俺にそんな役割は必要ない。」と言い放つ。

「あなたはティアナを見てるの?それともアーリヤ?」

「ハンジ、いい加減にしてくれ。壁外調査がせまっているんだ、俺もお前もここで呑気にしている場合か?」

「わかったよ。あーあ。時間潰しちゃって悪かったね」

ツキっとした嫌味を放ってハンジはエルヴィンの執務室を背伸びしながら出ていった。

エルヴィンは少しだけ手を休め何かを考えたがすぐに切り替えて書類の確認とサインを再開した。





ハンジは自身の執務室に戻る足を緩めずにエルヴィンの反応を考えていた。
リヴァイとの仲が深まると同時に彼はティアナを切り捨てるような行動に出ているようにみえる。
今までの過保護から極端な冷徹さを纏って。

(エルヴィン、とびきり歪んだ嫉妬じゃないか)


ふう、一息ついて自分を待ちかねているだろう部下たちが持ってくる仕事を早めに終わらせティアナのフォローできるようにしようと今度は足を速めた。


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