第34章 再び異動と甘すぎる夜
「ティアナ。」リヴァイが手招く。
「何があった?」
いつものように歌っているのにリヴァイは怪訝な表情をしている。
「なんでもないよー」明るく言うもリヴァイは誤魔化されてくれない。
「言え。」
「本当に何も、」
「隠すな。バレねえと思ってんのか。何があった?」
観念して今日の出来事を話していくとリヴァイは眉間の皺を深くして言い返す。
「それのどこに不満なんだ。」
「だって壁外調査に行けない。」
「確かに壁外には行けねえが、だからなんだ?」
「お前はお前の最善を尽くせばいいだろうが。医療隊は俺らの要だろう?ティアナ、救える命を救え。」
リヴァイは真っ直ぐな瞳で諭す。
黙っていると肩を抱き寄せるリヴァイの温かな言葉が頑なな私を溶かしていく。
「ありがとう、リヴァイ。」
「礼は貰うぞ。」
不意打ちなキスで驚いていると、優しいキスがもう一度、もう一度繰り返される。
次第に深くお互いの舌を絡め、長い甘いキスに息が苦しくてリヴァイの胸を叩くとチュッとリップ音たてて名残惜しそうに離れていく。
呼吸を整える私を見てリヴァイは手で顔を覆いながらも熱を含んだ瞳を流し目で私を貫く。
「んな、目で見るな。」
ポカンとしているとリヴァイは軽くキスをして「その顔も俺以外に見せるなよ」と釘をさす。
大真面目に言うリヴァイが可笑しくて優しくて抱きつくと耳元に低いテノールが囁く。
「おい、俺の理性を揺らすな。」
「ごめんなさい」クスクス笑いながら背中を撫でると
「襲うぞ、煽んな」
リヴァイはプイッと険しい顔であさっての方向を見るけど、これは照れ隠しって知ってる。
「リヴァイ。ねえ、こっち向いて?」
「覚えてろよ、お前の心の準備とやらが決まったら無茶苦茶に抱いてやるからな。」
リヴァイは頬を撫でながらニヤリと口角を上げ宣言する。
私の不安も不満も受け止めるリヴァイの優しさが今はただ、ただ嬉しくて抱きついていた。
「私にリヴァイは、もったいないなあ」
思わず心の声が出てしまうと「そんなこと言うな。ティアナの方が俺にはもったいないくらいにいい女だ。」
額と額を合わせる私達は幸せが溢れて、どちらからともなくキスを交わした。