第34章 再び異動と甘すぎる夜
班長を始め分隊長、団長。
一兵卒が意見を申し立てるのは分を弁えない行為だ。
懲罰房行きでもおかしくない。
どれだけハンジさん始めエルヴィン分隊長が私の我儘に付き合ってくれたかを改めて知った。
ハンジさんの執務室へ入ると予め通達されていただろうハンジさんはみんなを執務室から下がらせた。
「団長から聞いたね。」
「はい…」いつになく真剣なハンジさんに小さな声でしか答えられない。
「君は医療隊で頑張ってもらうよ。第3医療隊とは違う医療隊の前線だ。ティアナ。」
「しかし!」
「駄目だ。壁外調査後の医療隊がどんな状態か、知っているだろう。とにかくティアナ、着いておいで。向こう側に紹介する。」
もう私の意思だけでは動けない。これ以上は回りをかき乱すだけ。
ハンジさんの後を着いて医療隊へ。
医療隊も第3医療隊以上に忙しく動いていた。
物資の搬入、受け入れ態勢、人員の確保。
兵団の医療隊だけではなく他兵団や街の医療従事者で慌ただしく打ち合わせを行っている。
その中にはユンカー班長もいる。
「ユンカー、もう来てたんだね。」
「あぁ、暫く滞在することになった。ん?ティアナ?」
「ユンカー班長、今回もよろしくお願いします。」
「あー、丁度いいところに。ハーミット!来てくれ!」
「ハンジ、今は忙しいんだ、またの機会にしてくれ」
「違う違う、今日から暫く君んとこに預けるティアナの紹介に来たんだ!」
じっと値踏みするような目は私が役に立つのかを探っているのだろう。
「君か。多少医療をかじっているとは聞いたが、ただ指示に従うだけでいい。」
「了解しました。」
「ティアナ、僕のフォローを頼むよ。」
「じゃ、明日から預けるからよろしくね。」
ハンジさんはそう言うと私を再度連れて執務室へ向かう。
「ハーミットも今は準備で気がたってるけどユンカーもいるし、そんなに不安な顔はしなさんな。」
執務室に戻るとハンジ班のみんなに臨時の異動を伝えた。
団長命令とあれば誰も異を唱えることはなかった。
無性にリヴァイに会いたいと立体機動の訓練で一際目立つ彼を見つけることは出来なかった。