第33章 伝えたいこと
「入れよ。」
部屋の中の扉近くで止まってしまったティアナにリヴァイは部屋の奥へと手首を掴んで誘導する。
リヴァイの行動が読めないティアナは操られるようにソファまで近づく。
「とにかく、その間抜け面を何とかしろ」
そんなことを言われても自分の表情なんて分からない
「メモに書いたろ、俺はお前と話しがしたい」
自分が彼に特別な気持ちを抱いていること。自分でも気づいてなかったけど前からリヴァイが自分の心にいること。
勘のいいリヴァイだ。知られても不思議じゃない。
一見冷たそうな彼が相手を思いやる繊細な人だとティアナは知っている。この恋心にさよならを告げられるなら最初に自分の気持ちを告げよう。押しつけでも、なんでもいい。
「リヴァイ、私も貴方に、、」
「待て。俺から話す。お前の話はそれからだ。」
ズルい。そんなことを言われたら私は黙って聞くしかないのに。最後の言葉さえ先に言われるのかもしれない。
身構えてリヴァイの瞳を見つめる。どんな話であれ、青灰の瞳から目を逸らせない。
「座らねえのか?」
フルフルと首を横に振り、想いが破れた時にはすぐに立ち去れるよう座らない選択をした。
「そうか、ならそのままで良い」
お互い真っ直ぐに瞳を見つめあう。
「お前にとっていい話か、どうかは知らねえ。俺は俺が思うことをお前に聞いて欲しいから待った」
遠回り過ぎて、ただ胸が締め付けられる。
今から泣くかもしれないのにリヴァイは無茶振りをする。
「話しって何?」これが、精一杯の答え。
ああ、そうだったな。呟くリヴァイは真剣だ。
「回りくどい言い方は辞めだ。俺はお前を好いている。」
「えっ?」
「わからねえか?俺はお前を女として特別に見てる」
一瞬、何を言われたのか脳が処理しきれず呆然とする。
眉間の皺がどんどん深く、不機嫌さを隠さないリヴァイはなんと言った?
言葉が出ない。視界がぶれていく。反応しないティアナにリヴァイは続ける。
「お前が他の奴に笑いかけると引き離したくなる。お前に触れる奴の手を振りほどいて抱き締めたくなる。なあ、俺の気持ちはお前には迷惑なだけか?」
思いがけないリヴァイらしくない言葉にティアナの瞳から涙が溢れて止められない。
「答えを聞かせろよ。どっちでも俺の気持ちは変わらねえんだ。」