第32章 規律違反
「ハンジ、部下の管理もお前の仕事だ。今後はこんな騒ぎを起こさないように。後で始末書の提出も忘れるな」
「了解しました。」
敬礼するハンジさんにあわせ私も心臓に握りこぶしを当てる。
「謹慎は今日から。その間、反省しなさい、下がっていい」
ハンジさんと共に退室しドアを閉めるとふぅ。と息をはいたハンジさんに申し訳なく思った。
私のせいで巻き込んで始末書と何らかのペナルティを受けることを陳謝する。
「あのくらいなんて事ないよ、私だって抜け出すのは良くあるしね。ティアナが気にする事はないよ。」
ポンっと肩を手を置きニカっと笑うハンジさんに涙腺が緩んでくる。
わー、泣かない泣かない!と慌てるハンジさん。
宥めようと必死なハンジさんに頭を下げると「そんなのは良いから、ね?大丈夫!」と宿舎の部屋まで送ってくれ、「二ファが食事持ってくるし、心配しない!」と力強く励ましてくれ罪悪感はあるものの落ち着いて部屋で過ごした。
「リッヴァーイ!」
遠くから走ってくるハンジに絡まれたくないとばかりにクルリと今来た道に戻るがハンジはリヴァイの肩に腕を回してニコニコとしている。
「臭え、離れろ」
「お風呂入ったし。五日前だけど。」
「すぐに、離れろ、俺に近づくな。汚ねえ」
キツく睨んでも、怯むハンジではないことはわかっている。肩に回された腕を引き剥がし距離を取る。
「ひっどい。ひどいよ、リヴァイ。私とあなたの仲じゃないか」
「気色悪いこと抜かすな」
「あなたに話があるんだ。大真面目にね」
眼鏡の奥から覗く瞳は真剣に向けられている。
「ここじゃなんだから、私の執務室へ行こうか」
ガシッと肩を掴まれた手を振り払いながらハンジの後を着いていった。
相変わらず物や書類に溢れた部屋は入りたくないがドアを開けて入るのを促される。
「くだらねえ話なら帰るぞ」
「くだらないかは、あなたが判断していいよ」
座るように示されたソファもテーブルの上もリヴァイには不潔に思えて座る気にもならない。
「このままでいい。用件をサッサと話せ」
「そ、じゃ早速本題に入るね」
ムスッとしているリヴァイに構わず自分のデスクに落ち着くとハンジは話を切り出した。
「あなた、ティアナに何をしたの」