第32章 規律違反
朝の目覚めはかなりスッキリしていて夢も見なかった。朝の光が爽やかな中ナナバさんに付き添われて部屋に戻り顔と歯磨きをして身なりを整える。
ハンジさんは昨夜の顛末を分隊長に報告に行ったとのこと。
無断で抜け出した罰はなんだろう。不安が顔に出てたのかナナバさんが肩に手を置き食事にしよう。と誘ってくれた。
少しするとハンジさんも合流し、食事が終わり次第班長であるハンジさんと、共に分隊長室へ呼び出しをかけられてる。
まさか退団なんて、ないよね?
さらに不安になる思いつきのせいで食事が喉を通らない。
やっと戻ったのに、良くて異動、悪くて退団。
この二つしか浮かばない。
「ティアナ、ちゃんと食べな。一日持たないよ」
ナナバさんが優しく指摘する。
「はい、いただきます。」
ハンジさんとナナバさんは困ったような顔をしてスープやパンに手をつけている。
食事時に鬱々とした空気を出されては美味しくないだろうな…申し訳なく思う反面、空元気を出せるほどの余裕はなかった。質素な食事を食べ終わり、ハンジさんと今回の件で分隊長の元へ行きたくない足を運んだ。
覚悟も決まってないのに分隊長の執務室は窓が開いていて、そこから冷たいけれど春の近づきを感じる爽やかな風が入ってきていた。
分隊長はデスクに乗せた両腕の先、両手を組んで迎え入れ、厳しい表情をしている。
「まず、事実確認だ。君は許可なく宿舎から出ていた。間違いないか」
「はい。その通りです」
「君は以前にも騒ぎを起こしているな」
きた。私は二度目の騒ぎを起こしている。良い状況じゃない。
ハンジさんもジッと横についている。
厳罰は逃れられないだろう。
長い沈黙の後に分隊長が告げたのは私にとって想像していなかった処分だった。
「謹慎一週間、三ヶ月の給与減額だ」
ポカンと俯いた顔を上げると分隊長は表情を緩めて
「宿舎から無断で抜けているのは大勢だ、しかも私達は知っていたからね。私達も同罪だ。」
しかし、と言う私の言葉を遮って「もちろん、褒められた事じゃない。しかし暗黙の了解だろう?」
厳しく取り締まりすぎるのも逆効果だと。
私にとっては嬉しい処分だけにこれ以上は言えなかった。