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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第31章 気付いた?



久々の休養日。今日はクルトとカフェで約束している。
ヴァイオリンの松脂とか必要なものを受け取りながら楽団の様子も聞きたい。
もう、私は楽団に戻ることはないけど、やっぱり楽団の皆が心配な時もある。
足早に本部からでて、待ち合わせ場所へ。
先に着いてたらしいクルトは私を見ると手を挙げ合図をする。

「やあ、ティアナ、君から会いたいなんて嬉しいね」

「そういう言い方はやめてって言ってるでしょ」

笑いながら言っても怒って言ってもクルトに効果があった試しはない。
椅子を引いてエスコートしないだけ良かった。そんなことをしたら店内の視線を浴びてしまう。

「何にする?」

「紅茶とビスケット」

店員さんを呼んでスマートに注文するクルト。
シーナに住んでいる彼にとってはなんてことない、あの頃と同じ仕草だ。

クルトは最近のシーナでの出来事や貴族で流行りの遊びなんかを話してくる。

「レオナは元気?楽団の調子はどう?」

「全部いいよ。レオナは着いてくって駄々こねてたけど、またの機会にしてもらったよ」
駄々をこねるレオナが浮かんでクスクスと笑う。きっとクルトは苦労しただろう。

テーブルに頼んだ物が置かれ、まずは一口紅茶を飲む。

「相変わらず紅茶が好きだね、甘いものも。」

「そうだね、そこは変わらないよ、訓練ですぐダイエットになるから太らないし」

「あーあ、貴族の方々に教えたいよ、そのダイエット方法」

有り得ないのに思い浮かんでしまって吹き出してしまう。

気兼ねなく遠慮もなく昔のように話すのは楽しい。

「これ、どうぞ。足りなければいつでも言ってね。すぐに送るよ」

「ありがとう、こっちは私から。」

袋と封筒を交換する。
クルトはすぐに封筒を開けて、そこに記された音符を読む。

「相変わらずすごいな。ティアナの音は。」

「いつも通りだよ、音を形にしただけ。」

クルトは楽譜を見ながら指先をトントンと動かしている。


「ん?あれ?」

首を傾げ、少し考えているクルトに「どうしたの?」と聞くとクルトは難しい顔をしている。


「ねえ、ティアナ。君、何があったの?いつもの曲風じゃないね、初めてじゃないかな?これ。」

意識してない私はきっとキョトンとしていただろう。

それを見てクルトは「初々しい恋の音だ。」と、とんでもない事を言った。



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