第31章 気付いた?
あの後、後輩の女の子達の見る目は少しだけ鋭かったけど、だからといって面と向かってなにか言われたり行動があった訳でもなかった。
リヴァイとはいつもの場所でいつものように過ごすけれど、一度意識してしまうと顔を見るのも照れくさい。
私はリヴァイを男性として見ているのだろうか?
好きだと気付いたらそばにいたくて仕方ない。
誰かと笑いながら横切っていくティアナにこっちを向いて欲しい、他のやつに笑いかけて欲しくない。
俺の気持ちだけが募っていく。
ティアナは誰かにこんな気持ちを抱いているのか?
「ハンジ、君は余計な事をしたんじゃないのか?」
「エルヴィン、訓練帰り?」
「ああ、リヴァイの動きがいつもよりおかしいと思って見ていたら、ティアナの様子をみている。なにかしたんだろう?」
「うん、素直になって欲しいなぁと思ってさ。嫉妬する?」
「しないよ。ただ、訓練や壁外調査に影響が出るようなマネはしてくれるな」
「大丈夫だよ。後はあの二人がフラフラした気持ちをはっきりさせれば不安定なのも消えるさ」
「…随分、自信があるんだな。」
「うん。ずっと観察してきたからね。あなたも自分に正直になればと思ってる、私達に、確実にくる明日はないんだ。」
「…俺は仕事が詰まってる、もう行く」
「素直じゃないなあ」
ハンジさーん!見計らったように班員が遠くから呼んでいるのを境にエルヴィンとハンジは反対方向へ向かった。
(エルヴィン、あなたにだって幸せになる権利はあるんだよ)
「はい、はーい!今行くよー!」
余計な世話を焼いているのは分かっている、いつまでもエルヴィンがティアナだけを守るのもリヴァイが安らぎだけを求めるのも間違っている。
ティアナはそんな弱く儚い存在では無い。
無責任とわかっていても三人には心の内を曝け出して歪んだ縁を修復して欲しい。
ハンジは遠ざかるエルヴィンの気配を背中に感じながら午後の訓練に参加した。